うち‐くら【内蔵】
〘名〙 (「うちぐら」とも)
①
三蔵の
一つ。
履中天皇のとき、祭祀用の斎倉
(いみくら)と分けて内廷費用にあてる
官物を納めた倉。のち雄略天皇のとき、外廷用の大蔵
(おおくら)が分かれたと伝承される。
律令制では
内蔵寮(くらりょう)となる。うちのくら。うちつくら。〔令義解(718)〕
② 母屋の軒続きに建てられ、
戸口が家の内にある
土蔵。商品などを納める奥蔵に対し、金銀財宝や道具、
衣服など、比較的身近なもの、すぐ移動させるものなどを納めたもの。
※俳諧・生玉万句(1673)「影左衛門がなつの
一夕〈常頼〉 内蔵の金の扇やつかふ覧〈西随〉」
※
浮世草子・好色盛衰記(1688)一「客の中での内蔵
(ウチグラ)と存る方からふるき蚊屋を給はる」
うち‐の‐くら【内蔵】
※
古語拾遺(暦仁本訓)(807)「是
(ここ)を以
(も)て漢
(あやの)氏、姓
(かばね)を賜
(たま)うを内蔵
(ウチノクラ)と為
(す)」
ない‐ぞう ‥ザウ【内蔵】
〘名〙
※冬の日(1927)〈
梶井基次郎〉三「その日その日の
生活の
感情までが内蔵されてゐるかも知れない」
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デジタル大辞泉
「内蔵」の意味・読み・例文・類語
うち‐くら【内蔵】
《「うちぐら」とも》
1 三蔵の一。古代、朝廷の官物を収納した倉庫。うちつくら。うちのくら。
2 母屋と軒続きに建ててある蔵。家の内部から出入りする。→庭蔵
3 金持ち。
「客の中での―と存ずる方から古き蚊屋を賜る」〈浮・好色盛衰記・一〉
ない‐ぞう〔‐ザウ〕【内蔵】
[名](スル)内部に持っていること。「露出計を内蔵するカメラ」「危険を内蔵する」
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内蔵
うちくら
大和(やまと)朝廷の「三蔵(みつくら)」の一つ。単に「くら」ともいう。『古語拾遺(こごしゅうい)』によれば、履中(りちゅう)朝に至り、神物と官物とを分け、官物は内蔵を設けて収納し、阿知使主(あちのおみ)と王仁(わに)に出納を管理させたという。後の内蔵寮の起源である。
[黛 弘道]
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内蔵
うちくら
斎蔵 (いみくら) ,大蔵とともに大和朝廷の三蔵の一つ。官物を納めた蔵。『古語拾遺』に,三韓からのみつぎ物が多くなったため,履中天皇のとき斎蔵のかたわらに建てて官物を納め,阿知使主 (あちのおみ) と王仁 (わに) に出納を管理させた,とみえる。
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内蔵
周辺機器がコンピューターの内部に格納されていること。内蔵タイプのドライブは、本体に用意されたドライブベイに装着する。内蔵ドライブはケースや電源が不要なことから、外付けドライブよりも安価であることが多い。また、コンピューター内部のROMやRAMなどに組み込まれたコンピューターの動作を制御するプログラムを内蔵プログラムという。
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内蔵
うちくら
大和政権の官物を収納した三蔵 (みつくら) の一つ
「うちつくら」とも読む。大王家の財物をおさめた。
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世界大百科事典(旧版)内の内蔵の言及
【倉∥蔵】より
…
[商家の蔵]
江戸時代の商家では家財道具や商品を収めておくために,土蔵を1棟程度持っているのが普通であるが,豪商の家では数棟の蔵があった。家財道具や衣装を入れておく蔵は,内蔵とも呼ばれ,戸口の前に蔵前の部屋をとり,住宅と連続して使用できるようにしている例が多い。外蔵は米蔵,道具蔵,木蔵など,用途により建物を独立させ,建物が連続する場合も,棟の高さを変え,間に厚い壁を設け,個々の蔵が独立する形式をとっていた。…
【三蔵】より
…大和朝廷の財政をつかさどった官司またはクラとしての斎蔵(いみくら)・内蔵・大蔵の総称。《古語拾遺》によると,神武朝宮中に神物・官物を納める斎蔵を建て,斎(忌)部氏がこれを管掌し,履中朝,朝鮮三国からの貢納物がふえると斎蔵の近くに内蔵を設けて神物と官物を分収し,東漢(やまとのあや)氏の祖阿知使主(あちのおみ)と西文(かわちのあや)氏の祖王仁(わに)に出納を記録させ,また蔵部を定め,さらに雄略朝,諸国の貢調が増大すると大蔵を建て,蘇我麻智に三蔵を検校せしめ,秦氏を出納,東西文氏を記録にあたらせ,漢氏に内蔵・大蔵の姓を賜ったという。…
※「内蔵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」