スミス法(読み)すみすほう(英語表記)Smith Act

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スミス法」の意味・わかりやすい解説

スミス法
すみすほう
Smith Act

1940年6月アメリカ合衆国で制定された外国人登録法。第二次世界大戦勃発(ぼっぱつ)後の険悪な国際情勢の下に、世論の保守化の風潮をも反映して、おもに国内の破壊工作活動の防止、取締りの強化目的とした治安立法として実現した。外国人の入国および国外追放に関する規定はいっそう厳格となり、アメリカに滞在するすべての外国人に対して、強制的に指紋をとることが認められ、国内において武力暴力による政府転覆、破壊を唱導したり教示することは違法とされ、さらにそうした破壊工作活動を意図したグループを組織したり、それに加わることも禁じられた。これは第二次大戦後、アメリカ共産党幹部逮捕など、その活動を弾圧するために利用された。

[新川健三郎]

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百科事典マイペディア 「スミス法」の意味・わかりやすい解説

スミス法【スミスほう】

(1)1940年米国で制定された法律正称は外国人登録法。在米外国人の登録と指紋届出を義務づけたが,実質は政府転覆を目的とする言論や団体結成を規制し,治安立法的性格が強かった。(2)第2次大戦中の1943年米国で制定された戦時特別法。正称は戦時労働争議法。反ストライキ法とも。戦争遂行を阻害するストライキを行う私企業を接収する権限大統領に与える等の規定を含んでいた。戦後廃止。
→関連項目アメリカ共産党

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