改訂新版 世界大百科事典 「スローン」の意味・わかりやすい解説
スローン
Alfred Pritchard Sloan, Jr.
生没年:1875-1966
アメリカの経営者。ゼネラル・モーターズ(GM)を世界最大の自動車会社に育て,今日の自動車産業ひいてはアメリカ大企業経営の基礎を築いた。コネティカット州に生まれ,1895年マサチューセッツ工科大学を卒業後,ハイヤット・ローラー・ベアリング社に入りその経営を立て直す。1916年同社が自動車部品,付属品メーカーであるユナイテッド・モーターズ社に統合されるとその社長となったが,同社は18年にはGMに吸収された。スローンは20年破産の危機に瀕したGMの再建に尽力し,23年社長に就任した。彼の最大の功績は,本社委員会と投資収益率評価で統制された分権的事業部制組織を構築したことにある。また当時フォードに代表された単一車種戦略を打破して,多くの車種をそろえスタイル重視戦略を実施し,それを自動車業界に定着させた。37年スローン財団を設立し,大学や研究機関に多額の寄付を行った。
執筆者:新宅 純二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報