セマンティックウェブ(読み)せまんてぃっくうぇぶ(その他表記)semantic web

図書館情報学用語辞典 第5版 「セマンティックウェブ」の解説

セマンティックウェブ

メタデータの活用により,ウェブ情報の「意味」(semantics)をコンピュータが検知できるようにして,情報収集・利用の高度な自動化を図る技術.2001年にバーナーズ=リー(Tim Berners-Lee 1955- )が提唱して注目を浴び,活発な技術開発が行われている.その要素技術は,〈1〉標準化された構文枠組みによるメタデータ記述を行う「RDFモデルおよびシンタックス層」,〈2〉使用される用語や概念の相互関係を伝達する「RDFスキーマ層」「オントロジー層」,〈3〉自動処理のための推論や信頼性などを扱うさらに上位の諸層という階層構造を形成している.W3Cが各層の標準化を進めている.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セマンティックウェブ」の意味・わかりやすい解説

セマンティックウェブ
semantic web

ウェブ(→ワールド・ワイド・ウェブ)によってもたらされる情報資源の価値を高めるための技術的枠組み。ウェブ上の情報の意味をメタデータスキーマ(→スキーマ理論)として定義し,人工知能で発展した知識工学手法を用いて,ウェブ上の情報資源をコンピュータが自動的に変換,統合,流通,共有できるようにする。ウェブを発明したティム・バーナーズ=リーらが 2001年に構想を公表した。ウェブ上にデータを公開してグローバルに活用するために,公開するデータ間の関係を示すラベルのついたリンクを与えるリンクト・オープン・データ LODプロジェクトの基盤となった。各情報資源には URLの上位概念である URI; Uniform Resource Identifierと呼ばれる識別子が与えられる。その情報資源同士の属性や関係を,メタデータを記述する枠組みである RDF; Resource Description Frameworkに基づき主語述語・目的語の三つの要素を用いて表現すると,コンピュータが解読可能なメタデータとなる。RDFに用いる名前を定義するための枠組みを RDFS; RDF Schemaという。語彙(名前の集まり)に含まれている各名前が表す概念はオントロジー記述言語 OWLで定義する(→オントロジー)。

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知恵蔵 「セマンティックウェブ」の解説

セマンティックウェブ

ウェブの情報を、コンピューター自身が理解しやすいものにしよう、という試みのこと。現在のウェブは、コンピューター的には単なる文字羅列であり、「なかに何が書いてあるか」「どういったことに使える情報なのか」ということは、人間が介在しないと判断が難しい。そこで、ウェブ内に「何の情報に関するものか」などの情報を「メタデータ」と呼ばれる情報として付記して、コンピューターがそれを元に自動処理できるようにする、というのが、セマンティックウェブの本質である。結果、検索精度の向上や自動的なサマリー(概要)の作成などが可能となるが、メタデータの埋め込みは始まったばかりで、成果が明らかになるのはまだ先になると見られる。

(斎藤幾郎 ライター / 西田宗千佳 フリージャーナリスト / 2007年)

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