オントロジー(読み)おんとろじー(英語表記)ontology

翻訳|ontology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オントロジー」の意味・わかりやすい解説

オントロジー
ontology

エキスパートシステムセマンティックウェブなどで使用される概念を定義するための辞書オントロジー記述言語によって記述される。エキスパートシステムやセマンティックウェブなどのように記号的な知識表現を用いたシステムを開発し利用するとき,システムで用いられる概念とそれを表す名前に関して,開発者とユーザーの間で一定合意を形成し齟齬をなくすとともに,再利用や相互運用性を高めることを目的としている。オントロジー記述言語としては,OWLなどが知られている。OWLはセマンティックウェブにおける語彙(名前の集まり)を厳密に定義するために開発され,2004年に WWWコンソーシアム W3Cによる標準勧告に採用された。OWLでは,名前が表す概念はクラスと呼ばれ,与えられたクラスの上位クラス,下位クラス,同等のクラス,排他的なクラス,クラス間の論理演算,クラスの属性を規定するプロパティ,プロパティへの制約などが記述できる。また,オントロジーは,時間空間物質物体プロセスなどにかかわる抽象性が高い概念から構成される上位オントロジー,診断設計,計画立案などの問題解決タスク概念を記述したタスクオントロジー,個別の対象領域に関わる概念を記述したドメインオントロジーに分類される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オントロジー」の意味・わかりやすい解説

オントロジー
おんとろじー
ontology

もともとは哲学の存在論のことだが、最近、ウェブ上の情報の意味を扱い、セマンティックウェブに格上げして人工知能AI)が扱えるようにしようとする研究分野では、対象を表現するための概念と、概念間の関係を規定するものという意味で使われている。オントロジー工学は、AIの初期から研究されていた知識表現と同じと考えてよい。また、知識表現で問題にされていた、上位概念(たとえば鳥)から下位概念(たとえばワシニワトリ)への属性(たとえば飛ぶこと)の継承/非継承などに関しては、同じ問題が再度議論されている感がある。

 また、問題ドメインごとに異なるオントロジーが構築されていたり、さらには同じドメインであっても組織ごとに異なるオントロジーが使われていたりする例も多く、オントロジー間の翻訳も必要である。たとえば西暦と和暦であったり、同じ魚が別の名前でよばれることがあったりするが、オントロジーはこれらをそのまま反映してつくられていることが多いのでそれらを統一する必要がある。

[中島秀之 2019年7月19日]

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