セントウソウ(英語表記)Chamaele decumbens(Thunb.) Makino

改訂新版 世界大百科事典 「セントウソウ」の意味・わかりやすい解説

セントウソウ
Chamaele decumbens(Thunb.) Makino

やぶ陰や林の中に生えるセリ科の小型多年草。葉の形がオウレンの葉に似ているところから,オウレンダマシと呼ばれることもある。葉は地中にある短い地下茎から根生し,長い柄があり,2~3回3出羽状複葉で,長さ3~7cm,毛がない。春に葉の基部から斜上する複散形花序を出して,先に数個の小さい散形花序をつけ,まばらに白い花をつける。花は小さく,白い5枚の花弁があり,花弁の先は内に巻いている。おしべは5本。子房下位で,果実は長さ3mm内外,熟すと2分果に分かれる。花序の柄は花が終わるころから長く伸びて,果実の時期には葉よりも長く上につき出るようになる。日本の特産植物で,北海道から本州四国,九州に分布する。葉が特に細く幅1mm以下に裂けるものをミヤマセントウソウvar.japonica (Yabe)Makinoという。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セントウソウ」の意味・わかりやすい解説

セントウソウ
せんとうそう
[学] Chamaele decumbens (Thunb.) Makino

セリ科(APG分類:セリ科)の多年草。1属1種のみからなる日本の特産種で、茎は短く、花序が花茎状となり、高さ10~30センチメートル。葉は根生し、2~3回3出羽状複葉。葉柄紫色を帯び、基部は膨らむ。3~5月、白色花を開く。果実には油管がない。山野木陰に普通に生え、北海道から九州に分布する。葉の裂片が幅1ミリメートル以下と細い変種をミヤマセントウソウといい、本州中部から九州に分布する。

[門田裕一 2021年11月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セントウソウ」の意味・わかりやすい解説

セントウソウ
Chamaele decumbens

セリ科の小さい多年草で,日本各地の山野の木陰に普通にみられる。葉は根生し,長い柄があり,葉身は2回3出の羽状複葉で,全体の長さ3~7cm,幅2~6cmになる。4月頃,高さ 10cm前後の茎の先に少数の白色の小花を複散形状につける。果実は長さ 3mmほどの長楕円体で緑色,熟すると汚褐色となる。

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