日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソコアイアナゴ」の意味・わかりやすい解説
ソコアイアナゴ
そこあいあなご / 底藍穴子
large-toothed conger
[学] Bathyuroconger vicinus
硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科クロアナゴ亜科に属する海水魚。沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、台湾南部、インド洋・太平洋、大西洋(スリナム)に分布する。体は柔らかくてぶよぶよし、後方に向かって著しく細長くなり、側扁(そくへん)する。尾端はとがる。肛門(こうもん)は体の前3分の1付近に開く。頭は小さく、全長のおよそ17分の1。吻(ふん)は鈍くて、縦扁(じゅうへん)する。吻端は口より前方へ突出しない。前鼻孔(ぜんびこう)は吻端近くの側面に開き、管状。後鼻孔は目の中央水平線上の前方に位置する。縁辺部は多少隆起する。口が大きく、上顎(じょうがく)の後端は目の後縁下を越える。上唇の縁辺は反転しない。上顎先端は下顎先端を越えない。前上顎骨歯は牙(きば)状。主上顎骨歯は前方でおよそ4列、後方で2列に並び、前端で牙状になる。鋤骨歯(じょこつし)(頭蓋(とうがい)床の最前端の骨にある歯)は前方の中央で牙状。前上顎骨歯と鋤骨歯は接しない。肛門前の側線孔数は40~48。頭部に乳頭状の突起があり、吻上で顕著である。鰓孔(さいこう)は丸く、胸びれ基底の前方に開く。背びれは胸びれの中央部上方から、臀(しり)びれは肛門の直後から始まり、両者は尾端で尾びれとつながる。背びれと臀びれの鰭条(きじょう)に分節がある。体は一様に黒褐色。全長約74センチメートルに達する。水深およそ120~1500メートル、多くは900メートルの砂泥底にすみ、魚類を捕食する。深海性のアナゴ類で、底引網でまれに漁獲される。
[尼岡邦夫 2019年11月20日]