分節(読み)ブンセツ

デジタル大辞泉 「分節」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐せつ【分節】

全体をいくつかの区切りに分けること。また、その区切り。
articulation個々の音をはっきり発音すること。また、音声を出すための音声器官調節運動
syllabication音節区分すること。音節に分けること。
心理学で、統一的・全体的構造をもつものの部分は、独立した要素として分割できず、全体性分化としての構成要素であること。
[類語]分ける分かつ仕切る区切る区分け区分区別分割する等分均分画する離す区割り小分け細分細別区切り差別けじめ分かち

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「分節」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐せつ【分節】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] articulation の訳語 )
  2. 言語学で、言語に見られる音の単位の区切れ、意味の単位の区切れ。
  3. 言語学で、個々の音をはっきり発音すること、また、発声器官の調節や運動をいう。
    1. [初出の実例]「泣声・笑声・あくび・咳払の類は、全く生理的な、本能的な、生地の声であるのに、普通のコトバの方は、〈略〉有意的習練を経た、人工的な分節のある発音である」(出典:国語音韻論(1931)〈金田一京助〉一)
  4. 心理学で、思考・行動のなかで、全体との関連をもちながらも取り出して考察の対象とすることのできる構成部分をいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の分節の言及

【言語】より

…文は,理論的には長さの制限をもたず,また,その数も無数であるが,一定の構造(あるいは,いくつかの構造のうちのいずれか)を有する。文は,最終的には〈単語〉の列から成り立っている(こういう状態を〈分節〉と呼ぶことが多い)。たとえば,日本語の〈電車が来ましたよ〉は,〈電車〉〈が〉〈来る〉〈ます〉〈た〉〈よ〉という六つの単語の列から成り立っている,といえる。…

【単音】より

…このように単音の区分は必ずしも明確でない。生成音韻論では言語音声の流れの中でこれを構成する主要部分を分節音segmentと呼び,発話の音の流れを分節音に分けることを分節segmentationと称している。閉鎖音は,上顎に付着する上位器官と下顎に付着する下位器官が接触する〈閉鎖〉の段階と,この閉鎖がある時間続いて肺から出てくる空気をせき止める〈持続〉の段階,それに接触した上下の器官を引き離して破裂音を発する〈開放〉の段階から成る。…

【二重分節】より

…フランスの言語学者A.マルティネの言語理論の根幹をなす認識。人間の言語は多くの観察によってこの二重分節をそなえていることが知られ,また人間の言語に課せられた基本的な要請からいっても,そこには二重分節構造がぜひ必要であると考えられる。 人間の言語に課せられた基本的な要請としては,まず〈多様性〉の問題がある。…

※「分節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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