改訂新版 世界大百科事典 「ソフィン戦争」の意味・わかりやすい解説
ソ・フィン戦争 (ソフィンせんそう)
1939-44年,フィンランドとソ連邦の間で2度にわたって行われた戦争。
(1)第1次ソ・フィン戦争(冬戦争,1939-40年) 30年代にドイツでナチスが政権を握ると,ソ連は西部国境に軍事的脅威を感じ始めた。この時期に国際連盟が無力化し,北欧諸国は武装中立の道を歩むようになり,フィンランドもこれに同調する。39年,ドイツのポーランド侵攻が開始されると,ソ連はフィンランドの中立策に満足せず,レニングラード防衛のため大幅な領土交換を要求した。10~11月のモスクワ交渉でフィンランド側は主権擁護の立場から強硬姿勢を崩さず交渉は決裂。まもなくソ連軍は国境全線にわたって侵入を開始した。フィンランド軍は緒戦で善戦したが,40年になると疲労の色が濃くなり,一方,ソ連もイギリス,フランスのフィンランド援助の動きを見て和平に踏み切った。40年3月のモスクワ条約により,フィンランドはカレリア地峡で大幅に領土を喪失した。
(2)第2次ソ・フィン戦争(継続戦争,1941-44年) 第2次世界大戦でヨーロッパ情勢が悪化し,ソ連はバルト3国のソ連邦編入など勢力圏の強化を進めた。フィンランドはノルウェーとドイツ本国を往復するドイツ軍の国内通過を認めることで,ソ連の動きを牽制しようとした。41年ドイツのソ連侵攻が始まると,フィンランドもソ連に宣戦を布告しソ連領内に進撃,旧領土を回復した。フィンランドは対外的には独ソ戦とは別の自衛戦争という立場をとっていたが,国内にも反戦の動きが起こり,43年スターリングラードでドイツ軍が大敗すると,フィンランド政府は和平の道を探り始めた。44年休戦条約を結んで戦線を離脱。ソ連の占領はまぬがれたが,大幅な領土割譲,海軍基地提供,賠償などを強いられた。
執筆者:玉生 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報