ソ連・フィンランド戦争(読み)ソれん=フィンランドせんそう(その他表記)Soviet-Finnish War; Winter War

共同通信ニュース用語解説 「ソ連・フィンランド戦争」の解説

ソ連・フィンランド戦争

スターリンが独裁するソ連は主要都市レニングラード(現サンクトペテルブルク)がフィンランド国境に近いと懸念。1939年11月、領土割譲を要求し侵攻し「冬戦争」(第1次ソ連・フィンランド戦争)が起きた。フィンランドは善戦したが他国から十分な支援を得られず、40年3月、国境地帯などをソ連に譲った。41年に独ソ戦が始まるとフィンランドはドイツにつく形でソ連と戦った(「継続戦争」または第2次ソ連・フィンランド戦争)。44年休戦協定。47年の講和条約でフィンランドは領土の1割超を割譲。戦後はソ連、ロシアに配慮し中立政策を取った。(共同)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソ連・フィンランド戦争」の意味・わかりやすい解説

ソ連=フィンランド戦争
ソれん=フィンランドせんそう
Soviet-Finnish War; Winter War

第2次世界大戦中のソビエト連邦とフィンランドの戦争。第2次世界大戦初期の 1939年10月,ソ連は第三国からのソ連攻撃を防ぐためという理由で,フィンランドに対して,ハンコ岬を海軍基地として租借すること,フィンランド湾諸島の割譲,カレリア地峡の領土交換などを要求したが,拒否された。11月26日,両国国境で紛争が起こると,ソ連は 28日,この国境紛争事件に抗議して不可侵条約を破棄し,30日フィンランドに対して開戦し,50万の大軍をもって侵略を始めた。親ソ政権がフィンランド領内に組織され,ソ連はこれと提携して戦闘を続けたが,数週間でフィンランド全土を占領できるであろうというソ連側の予想に反して,ソ連軍は C.G.マンネルヘイム元帥の指揮するフィンランド軍の強力な抵抗にあって苦戦した。国際連盟は 12月にソ連を除名し,イギリス,フランスはフィンランド援助を約束したが実現しなかった。1940年2月に開始されたソ連軍の大攻勢の前に,フィンランド軍はその抵抗力の限界に達し,3月12日モスクワで講和条約が成立した。フィンランドは,ソ連の開戦前の要求を上回る条件を受諾せざるをえなかった。1941年6月独ソ戦が開始されると,フィンランドもソ連に宣戦して失地回復をはかり,いわゆる第2次ソ連=フィンランド戦争が始まったが,1944年9月休戦協定が結ばれ,フィンランドは 1940年に失った領土に加えてペッツァモ地方をソ連に譲渡し,ハンコ岬の代わりに,ポルカラ半島を貸与した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ソ連・フィンランド戦争」の解説

ソ連‐フィンランド戦争(ソれん‐フィンランドせんそう)

第二次世界大戦中に2度にわたって戦われた,ソ連‐フィンランド間の戦争。

①〔第1次〕1939年ドイツがポーランドに侵攻すると,ソ連は同年よりフィンランドに対し国境地帯割譲と基地貸与を要求した。これが拒絶されると,11月30日,ソ連軍はフィンランドを攻撃,越境侵入した。フィンランド側の抵抗は強く,ソ連は傀儡(かいらい)政府をつくりあげたが勝利はできず,40年3月カレリア地方を割譲させて,戦争を終えた。

②〔第2次〕ナチス・ドイツが1941年6月22日対ソ戦争を始めると,直後にソ連軍の空襲の反撃を理由として,フィンランドは同25日対ソ戦争に踏み切った。44年9月19日の休戦条約で戦争は終結し,その結果フィンランドは,ヘルシンキ近郊のポルカラ半島などの貸与のほか,3億ドル(のち2億ドルに減額された)にのぼる賠償を課せられた。

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