タテジマフジツボ(英語表記)Balanus amphitrite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タテジマフジツボ」の意味・わかりやすい解説

タテジマフジツボ
Balanus amphitrite

顎脚綱無柄目フジツボ科。殻径 2.5cm,高さ 1.2cm。殻は白色の地に暗紫色縦縞があり,なめらかである。殻口は比較的大きく,ほぼ四角形。低塩分濃度によく耐え,内湾の筏や桟橋に多い。おもに熱帯,亜熱帯地方の低潮線付近に群生するが,船の底に付着してインド西太平洋全域,さらに大西洋にまで分布が広がっている。日本では北海道南部から南の内湾各地で普通に見られるが,環境省と農林水産省によって作成された「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」(→外来生物)に挙げられている。(→顎脚類甲殻類節足動物フジツボ類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タテジマフジツボ」の意味・わかりやすい解説

タテジマフジツボ
たてじまふじつぼ / 縦縞藤壺
[学] Balanus amphitrite

節足動物門甲殻綱完胸目フジツボ科に属する海産動物。直径1.5~2.5センチメートルで、高さは0.7~1.2センチメートルくらい。殻口は大きな菱(ひし)形で、峰板(ほうばん)の上端がわずかに外に曲がるが、周殻は比較的緩やかに傾斜する。滑らかで光沢があり、白色地に数本の暗紫色の縦縞(たてじま)がある。フィリピンハワイなど熱帯、亜熱帯海域では潮間帯でみられるが、南日本各地の暖流水域では内海や港にある筏(いかだ)、杭(くい)などにつくほか、船底にもつくため嫌われる。

[武田正倫]

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世界大百科事典(旧版)内のタテジマフジツボの言及

【サラサフジツボ】より

…船底以外に,低潮線以深にある石や貝殻の上などにも付着している。塩分濃度の低い内湾などには,近縁のタテジマフジツボB.amphitriteが生息し,いかだや船底に多く付着し,シロスジフジツボB.a.albicostatusは岩上および橋脚などに多く着生する。第2次世界大戦後,船底に付着して移入されたものにヨーロッパフジツボB.improvisusやアメリカフジツボB.eburneusなどがあり,全国に広まりつつある。…

【ヨーロッパフジツボ】より

…元来,ヨーロッパの大西洋沿岸,イギリス海峡,北海およびバルト海など,おもに汽水域に生息したが,現在では日本全土の汽水や浅海域にまで広まり,船底のほか,石杭やいかだなどにも着生しているのが見られる。これと同様に,戦後,アメリカの大西洋岸から船底に付き運ばれてきた近似種のアメリカフジツボB.eburneusは殻の直径3cmくらい,以来漸次日本各地に分布を広げ,これよりやや小型で,白い殻表に数本の暗紫色の縦縞のあるタテジマフジツボB.amphitriteと混じって,港などの岸壁や,杭,いかだにも群生しているのが見られる。【蒲生 重男】。…

※「タテジマフジツボ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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