日本大百科全書(ニッポニカ) 「テッポウエビ」の意味・わかりやすい解説
テッポウエビ
てっぽうえび / 鉄砲蝦
[学] Alpheus brevicristatus
節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目テッポウエビ科に属するエビ。体長5センチメートルほど。日本各地の潮間帯やアマモなどが生える浅海の砂泥底に浅い穴を掘ってすむ。額角(がっかく)は棘(とげ)状。目は頭胸甲に覆われており、柄(え)はない。第1、第2胸脚にはさみをもつが、第1胸脚は著しく大きく、第2胸脚は多数の節に分かれる。第1胸脚のはさみは左右で大きさが著しく異なり、大きいほうでパチンという大きな破裂音を出す。テッポウエビ類はいずれもよく似ていて、種の同定がむずかしいためか、総称的にテッポウエビpistol shrimp, snapping shrimpとよぶことが多い。釣り餌(え)とされるほかは利用価値はあまりない。テッポウエビ科の日本産は約70種で、そのうちテッポウエビ属は約40種である。磯(いそ)にすむフタミゾテッポウエビA. bisincisusやオニテッポウエビA. rapaxなどのほか、ハゼ類と共生するニシキテッポウエビA. bellulusなどがよく知られている。
[武田正倫]