チャルメラ(読み)ちゃるめら

精選版 日本国語大辞典 「チャルメラ」の意味・読み・例文・類語

チャルメラ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ポルトガル語] charamela の転訛したもので「哨吶」「南蛮笛」などとも書いた )[ 異表記 ] チャラメラ・チャルメイラ・チャルメル・チャルメロ・チャリメロ・チャロメロ・チャンメラ・チャンメル
  2. オーボエ属の古典的管楽器の一つ。真鍮製で、一六世紀ポルトガルやスペインから日本に伝来した。南蛮笛。唐人笛スールナイ
  3. 楽器に由来する管楽器。ダブル‐リードを持つ簡単な構造の縦笛型で、先端は朝顔状に開く。現在では、屋台の中華そば屋の宣伝に使用。
    1. [初出の実例]「其外色々はやし物あり、尤チャルメイラあり」(出典:呂宋覚書(1671))
    2. 「浩処に、喇叭(らは)嗩吶(チャロメロ)、銅鑼鼓の音」(出典読本椿説弓張月(1807‐11)続)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャルメラ」の意味・わかりやすい解説

チャルメラ
ちゃるめら

日本のダブル・リード(複簧(ふくこう))気鳴楽器。木製円錐(えんすい)管で、表に7、裏に1個の指孔(ゆびあな)があり、吹口に二つ裂きの藁(わら)を取り付け、口にくわえて吹奏する。中国の嗩吶(ソーナー)が16世紀末に渡来して日本化したものと考えられている。一般には、「ドレミレド、ドレミレドレ」の基本旋律を即興的に変奏しながら深夜の町を流す夜鳴きそば屋の楽器として、庶民的な下町の音の一端を担ってきた。こうした背景があるため、歌舞伎囃子(かぶきばやし)で中国的な雰囲気を出したり(『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』など)、下町の感じを出す(『髪結藤次(かみゆいとうじ)』など)のに利用され、長唄(ながうた)では『虎狩(とらがり)』『三国妖狐物語』の唐楽(とうがく)の合方(あいかた)などに用いられた。

 名称については、16世紀後半伝来の中国系とは異なるイベリア系真鍮(しんちゅう)製のものが南蛮笛とよばれたが、これは普及せず、そのポルトガル語charamelaがなまった「チャルメラ」が転用されたと考えられる。これら一連の類似楽器は、西アジアスルナイ、またはその祖型から伝播(でんぱ)変容したのであろう。

山口 修]

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改訂新版 世界大百科事典 「チャルメラ」の意味・わかりやすい解説

チャルメラ

管楽器。リード笛を意味するスペイン語およびポルトガル語charamelaの転訛したもの。表7孔,裏1孔の指孔をもつ木製の円錐管で,吹口にわらをくくりつけるのでそれがダブル・リードとして機能する。日本では屋台の中華そば売りの楽器として知られているが,歌舞伎囃子では中国情緒や下町気分を表現するときに用いる。16世紀後半にスペイン・ポルトガル系のシンチュウ製のチャルメラが伝来,16世紀末以後中国の嗩吶(さない)(スルナイ)が伝わったといわれ,前者は後代には伝わらず,名だけが残り,後者の中国系のものにチャルメラの名をあてて呼んだ。
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百科事典マイペディア 「チャルメラ」の意味・わかりやすい解説

チャルメラ

複簧(こう)の管楽器。名はポルトガル語の訛(なまり)であるが,後世中国から渡来したものらしく,起源はスルナイといわれる。中国では,先端がラッパ形に開いた大型のものをスオナー,小型のものを海笛(ハイチ)と呼び,いずれも竹製。

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