チュコフスキー(読み)ちゅこふすきー(英語表記)Корней Иванович Чуковский/Korney Ivanovich Chukovskiy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チュコフスキー」の意味・わかりやすい解説

チュコフスキー
ちゅこふすきー
Корней Иванович Чуковский/Korney Ivanovich Chukovskiy
(1882―1969)

ロシアの詩人批評家、翻訳家。サンクト・ペテルブルグに生まれ、ペテルブルグ大学を卒業。反政府的風刺雑誌『信号』の編集に携わりながら『チェーホフから現代まで』(1907)、『未来の民主主義詩人ウォルト・ホイットマン』(1914)などの評論を発表。その後、児童文学をも手がけ、『わに』(1916)、『モイドドゥイル』(1923)、『ゴキブリ大将』(1924)、『蠅(はえ)のブン子』(1927)などで子供たちの人気を博した。詩人ネクラーソフの研究に没頭し、『ネクラーソフの手法』(1952)を発表した。シェークスピアキップリング、ホイットマン、マーク・トウェーンなどの翻訳や翻訳本もある。ほかに幼児言語を観察した特異な書『2歳から5歳まで』(1960)、文学交渉史『回想から』(1958)、『人々と本』(1958)などがある。女流小説家L・K・チュコフスカヤは娘。

[工藤正広]

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改訂新版 世界大百科事典 「チュコフスキー」の意味・わかりやすい解説

チュコフスキー
Kornei Ivanovich Chukovskii
生没年:1882-1969

ロシア・ソ連邦の詩人,批評家。ペテルブルグ大学を卒業と同時に,象徴派から未来派にいたる当時の新しい芸術運動の理解者として批評を書き,はなばなしく文壇に登場,《チェーホフから現代まで》(1908),《未来の民主主義詩人ウォルト・ホイットマン》(1914)などの評論集を刊行した。子ども向けの物語詩《ワニ》(1916)を書いて好評を博して以来,児童文学の作者として多数の作品を書きつづけた。《2歳から5歳まで》(1928)は子どもの言語感覚を分析した名著である。その後,批評家としての発言は少なくなり,《ネクラーソフの手法》(1952)などの本格的な文学研究書を完成した。晩年になり《回想から》(1958),《人々と書物》(1957)などを書き,長い人生において出会った人々,とりわけ20世紀初めのブロークマヤコーフスキーなどのすぐれた回想を残した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チュコフスキー」の意味・わかりやすい解説

チュコフスキー
Chukovskii, Kornei Ivanovich

[生]1882.3.31. ペテルブルグ
[没]1969.10.28. モスクワ
ロシア,ソ連の評論家,翻訳家,詩人。『チェーホフから現代まで』 Ot Chekhova do nashikh dnei (1907) ,『未来の民主主義詩人ホイットマン』 Poeziya gryadushchei demokratii. U. Uitmen (14) などの評論集を発表。その後詩人として『わにが町にやってきた』 Krokodil (16) など多数の児童詩や,幼児の言語研究の書『2歳から5歳まで』 Ot dvukh do pyati (28) を書き,また英米文学の翻訳家としても活躍した。『ネクラーソフの手法』 Masterstvo Nekrasova (52) ,エッセー『回想から』 Iz vospominanii (58) などがある。晩年は A.ソルジェニーツィンの庇護者として知られた。

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世界大百科事典(旧版)内のチュコフスキーの言及

【児童文学】より

…F.K.ソログープは暗い影の多い不思議な小説を作り,L.N.トルストイはおおらかな民話と小品を発表した。革命後の新しい児童文学の父はM.ゴーリキーであったが,彼はとくに子どものものを書かずに,V.V.マヤコーフスキーやS.Ya.マルシャークやK.I.チュコフスキーにその実りをゆずった。そのうちでマルシャークは第一人者として,《12の月(森は生きている)》(1943)のような劇やたくさんの童謡を発表している。…

※「チュコフスキー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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