微小管microtubuleを構成するタンパク質。微小管は生物界のほとんどすべての細胞に見いだされる直径24nmの管状繊維構造で,鞭毛・繊毛運動,細胞形態の形成・維持,細胞分裂,神経軸索内輸送などの多くの生理現象に深く関与している。1963年にギボンズI.R.Gibbonsが抽出,68年に毛利秀雄が命名。チューブリンはα,βの2種の異なったサブユニットから成り,異質二量体としての分子量は約11万で,2分子のGTP(グアノシン三リン酸)と1分子のマグネシウムを結合している。細胞分裂阻害剤であるコルヒチンやビンブラスチンなどとも結合する。これらの結合により分裂装置を構成している微小管が脱重合して細胞分裂が阻害される。アミノ酸配列は決定されているが,α鎖のカルボキシル末端にしばしばリガーゼによるチロシンの付加反応が起こっている。細胞内では細胞周期や生理的状態の変化に応じて,チューブリンと微小管の重合・脱重合による相互変換反応が微妙に制御されている。
執筆者:宝谷 紘一
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…このための副作用として最初に現れるのは胃腸障害であり,副作用が現れたならば直ちに使用を停止することが肝心である。細胞分裂の停止は,有糸核分裂の際に染色体を両極に引き離すのに当たって働く微細管が,その構成タンパク質チューブリンの分子の凝集によって形成される過程を阻害するからである。コルヒチンはチューブリンの分子と結合することによってこのような作用を現す。…
※「チューブリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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