つぼ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「つぼ」の意味・わかりやすい解説

つぼ
つぼ / 壺

一般に、多くのなかからそれと見極めたところをいい、場面や状況によって種々使い分けられている。矢を射るときには、そのねらいどころ(矢壺矢所)をいい、鍼灸(しんきゅう)では身体の定まった位置灸点経穴(けいけつ)〕、邦楽では三味線などの弦楽器勘所(音の高さを決める点で、この押さえ方が甘いと音が狂う)をいう。口が小さくつぼんだ壺の形から出た俗称といい、見込んだところ、ねらいどころ、図星(ずぼし)、急所、勘所などと同義に使われる。

[宇田敏彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「つぼ」の意味・わかりやすい解説

つぼ
lagena

内耳にある小盲嚢で,蝸牛管の起始部にあたるところをいう。哺乳類では内耳は半規管と,蝸牛管の部分に大別され,中間球形嚢がつないでいるが,鳥類以下では蝸牛管は渦巻になるほど発達せず,壺の形にとどまっている。つぼは聴覚よりも,半規管と合せて体位平衡感覚に関係するとされている。

つぼ
volva

フクロタケベニテングタケなど,担子菌類キノコ子実体の最外層で袋状になっているところが,キノコの生長につれて傘の柄の下部に袋状に残った部分をいう。

つぼ

経穴」のページをご覧ください。


ツボ

勘所」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のつぼの言及

【丁半】より

…江戸時代中期から後期に,博徒が賭場を開いて客を集めるようになって形がととのった。さいころ2個をざるでつくったツボへ入れて盆茣蓙(ぼんござ)の上へ伏せ,ツボを除いたとき出た目の合計が丁か半かで勝負を決める。丁の目が出れば,丁方へ張った者が賭場の手数料を差し引いたのちに,半方へ張った者の駒をもらう。…

【組】より

… 村組は一般に組と呼ばれるが,同時に全国各地にさまざまな村組を示す名称が分布している。主要なものを示せば,東北地方のヤシキ(屋敷),北関東のツボ(坪),南関東のニワ(庭),ニワバ(庭場),サト(里),中部地方のコウチ(耕地),近畿地方を中心に広く分布するカイト(垣内,垣外,貝戸,海戸等),中国・四国地方のドイ(土居),ホウジ(榜示),北九州のコガ(空閑),南九州のカド(門),沖縄本島北部のバーリ,同島南部のダカリなどである。これらのうち,東北地方,関東地方あるいは九州に分布する屋敷,坪,庭,門などの名称は,他方では個別の家においてその居住空間やその一部を示すものとして一般的に使用されている語である。…

【勘所】より

…弦楽器を演奏するとき,弦の振動する長さを加減して音高の上下を調節するために指で押さえる位置のこと。〈つぼ〉ともいう。三味線,胡弓,一弦琴,二弦琴など楽器の種類によって,それぞれの勘所に特定の名称がある。…

【三味線】より

…日本の弦楽器(イラスト)。〈さみせん〉とも発音し,三絃,三弦と書かれることが多い。江戸時代に発達した楽器で,今日でも各方面で使われている。木製の四角な枠の両面に獣皮をはって胴とし,これを貫通する長い棹(さお)の表面に平行して3本の糸をはり,撥(ばち)または指で演奏する。糸の響きは駒によって胴に伝えられる。音楽の種類によって若干の差がある。沖縄の三線(さんしん)は独自の様式をもつ別の楽器で,九州の一部には杉板で作られたゴッタン(板三味線)もある。…

【経穴】より

…以下に述べるのは通常用いられている広い意味の経穴である。経穴は俗に〈つぼ〉と呼ばれて,鍼(はり)をうつとか灸(きゆう)をすえるとか刺激を加えることによって,遠く離れた場所に反応を起こして病変を好転させることのできる部位である。 経穴は《素問》(《黄帝内経》)や《甲乙経》などの古い文献では気穴や孔穴とも呼ばれている。…

【鍼灸】より

…中国で発達した物理療法で,体表に金属針を刺す(鍼をうつ)か,もぐさを置いて火をつける(灸をすえる)という刺激を加えることによって病気を治療する。種々の手法が存在したらしいが,もっとも普通に用いられてきたのは,経穴(俗につぼという)という体表の特定の部位を刺激して,多くの場合そこから離れた部位にある病変を治癒させるものである。鍼灸の治療理論になっている経脈(けいみやく)説は,人体には経脈という脈管があり,そのなかを気が循環して生理機能をつかさどっているというもので,その基礎は漢代に成立したと考えられる。…

※「つぼ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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