脊椎(せきつい)動物の平衡感覚器の一部で、ヒトでは側頭骨岩様(がんよう)部の内部にある内耳の膜迷路に属する構造物である。膜迷路は、これとまったく同じ形の骨迷路に囲まれ、完全に閉じられた管構造である。迷路の後方が半規管を形成している。迷路の中央部には卵形嚢(のう)と球形嚢とよぶ構造があり、この両者と半規管とで平衡覚部を構成している。半規管は、前半規管、後半規管、外側半規管の3本からなっており、これを三半規管という。いずれの管もC字形で、互いに直角となる方向を向いており、それぞれの管の両端は卵形嚢に開いている。前半規管は側頭骨の錐体(すいたい)の長軸に直角方向、後半規管はこの長軸と平行方向、外側半規管は水平面で外側方向に向いている。半規管の太さは直径0.3~0.5ミリメートルで、半規管の内腔(ないくう)にはリンパ液が満たされている。各管が卵形嚢に開口する部分には、各管に1個ずつの膨大部があり、この部分の内面にはC字形の高まりがある(これを膨大部稜(りょう)とよぶ)。膨大部稜には感覚上皮が配列しており、管腔内のリンパ液の流れによって感覚上皮が刺激されると、体の回転感覚が生じる。
脊椎動物の場合、半規管は円口類の1~2個を除くと、ほかはすべて三半規管となる。骨半規管は膜半規管とまったく同形であり、前・後・外側半規管を備えているが、その太さは膜半規管の4~5倍である。骨半規管は、5個の開口部で前庭とよばれる部分に開口するが、この前庭には卵形嚢と球形嚢とが収まっている。
[嶋井和世]
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…耳のいちばん奥にある内耳の一部を形成している三つの管状器官。内耳には音を感ずる蝸牛,身体の平衡感覚に関係する前庭・三半規管がある。前庭vestibuleが直線加速度・重力・遠心力などを感受するのに対し,三半規管は回転加速度刺激を感受している。…
…内耳は刺激を受容する中心的部分で,最も奥深く位置し,進化的にみて最も由来が古く,すべての脊椎動物が例外なく備えるものである。内耳の実質をなすのは〈迷路〉と呼ばれる複雑な囊状の構造で,これは動物のグループによってかなり異なるが,一般的には〈卵形囊〉とそれに付属した半円形の管である〈半規管〉,および〈球形囊〉とそれから伸びた〈蝸牛(かぎゆう)管〉という4部の中空の小囊から成る(ただし下等脊椎動物は蝸牛管をもたない)。卵形囊と球形囊は内耳の中心部をなし,これらをあわせて〈前庭〉という。…
※「半規管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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