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ツングース語 ツングースごTungus languages

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ツングース語
ツングースご
Tungus languages

シベリア東部,サハリン島,中国東北地方および辺境地方などに分布している言語。エベン語エベンキ語 (ソロン語) ,ネギダル語ウデヘ語オロチ語ナーナイ語オルチャ語オロッコ語満州語から成る。ツングース語という名称は,以上のうち満州語を除くすべての言語をさすのに用い,全体は満州=ツングース語ということもあり,最も狭義ではエベンキ語だけをさすこともある。これら広義のツングース語が共通の祖語にさかのぼることは明らかであるが,それがさらにチュルク諸語モンゴル語とともにアルタイ語族を形成するか否かの言語学的証明は未確立である。文献の存在するのは,少量の女真語文献 (12~13世紀) を除けば,満州語のみで,それも 17世紀以降であるため,歴史的研究が遅れており,むしろ現代諸方言の比較研究にまつところが大きい。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ツングース語
つんぐーすご
Tungusic

シベリアに住む少数民族ツングース人や中国の満洲人などの固有の言語。ツングース・満州語ともいう。今日、ロシアではシベリア地方のエニセイ川流域から東方の地域、カムチャツカ、サハリン(樺太(からふと))、沿海地方まで、中国では東北部北辺、フルンボイル、新疆(しんきょう/シンチヤン)の一部に分布している。話し手の数は少なく、ロシアでは約2万3000(1989)である。この言語は次の4群に大別できる方言に分かれていて、全域にわたる共通語はない。各方言はそれぞれかなり異なり、別々の言語ともみなしうるので、以下「○○語」とよぶ。
〔1〕(1)エベン(エウェン)語(ラムート語)、(2)エベンキ(エウェンキ)語、(3)ソロン語、(4)ネギダル語
〔2〕(1)ウデヘ語、(2)オロチ語
〔3〕(1)ナーナイ語(ゴルディ語)、(2)オルチャ語、(3)ウイルタ語
〔4〕満州語。ほかに12世紀に金国を建てた女真(じょしん)族の女真語という歴史上の言語も〔4〕に入るとみられる。
 〔1〕の(1)はレナ川右岸地方から東のアナディリまでの諸地方とカムチャツカ半島中部に分布する。(2)はエニセイ川左岸地方、エベンキ自治管区とその周辺、バイカル湖北辺地方、ビチム川・アルダン川上流・ゼヤ川・ブレヤ川などの地方、オホーツク海西岸、サハリン北部、興安嶺(こうあんれい/シンアンリン)に分布し、狭義のツングース語はこのエベンキ語をさす。(3)は中国東北のフルンボイル、(4)はアムール川下流の支流アムグン川沿岸、〔2〕の(1)はウスリー川右岸支流の沿岸などシホテ・アリニ地方、(2)はシホテ・アリニ北部、〔3〕の(1)は松花江、ウスリー川沿岸とそれより北のアムール川地方、(2)はさらに下流のアムール川沿岸。(3)はサハリン、〔4〕の満州語は中国黒竜江省の数地点、新疆の伊寧付近などにおいて話される。
 ツングース語では、同じ語のなかの母音に関して、母音調和とよばれる制限があり、ある母音と他のある母音は同じ語のなかに共存しない。単語は通常、いわゆる膠着(こうちゃく)的構造をもち、語幹とそれに後続する接尾辞や語尾に分解できるが、また語幹だけからなることもある。文字については、女真語は、はじめ女真大字(だいじ)、のちに女真小字(しょうじ)を用いた。満州語は満州字を使う。そのほかのツングース諸語には古くは文字がなかったが、今日ロシア領ではエベンキ語、エベン語、ナーナイ語の書写語はロシア字を使う。歴史的にみると、女真語では12、13世紀の碑文、満州語では17世紀前半の文献が今日残る最古の記録である。エベン語の単語は、すでにオランダ語のN・ウィツェンの著書『北・東ダッタン』の1692年版に、同1705年版にはエベンキ語の文例も初めて記載されている。オルチャ語は、江戸時代に日本人がサンタン(山丹)人のことばとして記録したオルチャ語の単語により18世紀末までさかのぼる。そのほかのツングース諸語の今日残る記録資料は19世紀以後のものである。ウイルタ語については、19世紀なかば松浦竹四郎が記録した単語資料が残る。上記のツングース諸語は、ともに共通のツングース祖語から分化してきたものである。ツングース語はさらに蒙古(もうこ)語、トルコ語と共通の祖語をもち、これらはアルタイ語族をなすという説もあるが、まだ証明されるに至らず、これに対する批判的な見方もある。[池上二良]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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