テッパイ(読み)てっぱい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テッパイ」の意味・わかりやすい解説

テッパイ
てっぱい

竹を編んだ台湾の筏(いかだ)。竹筏と書く。大陸に近い台湾西海岸に多くみられることなどから、中国南部に起源するとみられ、中国南部(さらに東南アジア)の類似の竹の筏をこの語でよんだことがある。海水用のテッパイは、マダケを曲げて舳先(へさき)、艫(とも)をつくり、両側をせり上げた緩い舟型であり、帆を用い複数のさし板を用いて安定性を増す。国分直一らが報告した台湾南部の例(1948年『民族学研究』所掲)では、マダケのほかに台湾特産のシチクも部分的に用い、皮をはいだ竹に塗料を塗り、籐(とう)を用いて前端のやや短い台形に組み立てた。もっとも大きいトアパイ(大筏)は約2.6メートル×7メートルもあり、3年程度使用できた。小形で平底の淡水用の製品もあり、櫂(かい)や棹(さお)で操作した。

[佐々木明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のテッパイの言及

【筏】より

…ヤップ島やパラオ島では8mにもおよぶ6~7本の竹を並べ,数本の竹を直交させて固定しただけのいかだが,浅瀬の多い礁湖内での漁労や運搬に多用されている。台湾のテッパイとよばれるいかだは,10本以上の麻竹(まちく)を並べて籐で固縛し,その両端を焼き曲げ,櫂や帆で推進する。この長さ5m,幅2mのいかだは船首の幅が船尾よりも狭く,両舷側は中央部より高くなっている。…

【舟∥船】より

…伐採した木材をいかだに組んで運ぶ方法はしばしば見られる。ベトナムや台湾では,前方をそり上がらせた竹筏(テッパイ)が漁船として海上で用いられている。また,いくつかの葦の束を舟形に束ね合わせて作るいかだすなわち葦舟は,古代エジプトで用いられていたが,今日でもアフリカや南北アメリカ大陸で幅広く使用されている。…

※「テッパイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android