一定の日に行われる13組(9組の場合もある)のサッカーの試合結果を、参加料を支払って予想投票し、的中すれば一定率の賞金が払い戻される仕組みの賭(か)け事。1921年イギリスの競馬関係のブックメーカー(賭け屋)が創案し、34年に公認された。その後ヨーロッパおよび中南米諸国に広がっていったが、一方で公認されてはいないが公然と行われている国もある。トトカルチョという語は、46年にこれがイタリアに伝えられたとき、賭け事を意味するトトと、同国南部で古くから行われているカルチョというフットボールの名称とをあわせてつくられたもので、フットボールを対象とする賭け事を意味している。また、ほかの国ではスポーツトトとかフットボール・プールスなどとよんでいる。
イタリアのトトカルチョは、毎週日曜日に行われる全国のサッカー試合のなかから13組を選んで予想投票させる。試合終了後、参加料の総額の約40%を賞金として、13組全部または12組の試合の結果を的中させた人に、2分の1ずつ案分して支払われる。その的中者がいないときは、11組の的中者に賞金全部が案分して支払われる。収益はおもにスポーツ振興に使われる。なお、1994年にはトトゴール、98年にはトトセイ、2001年にはトトビンゴもスタートした。トトゴールは国内リーグ32試合のなかからもっともゴール数の多い8試合を当てるもの。トトセイは事前に指定された6試合12チームの得点数(0、1、2、3点以上)を当てるもの。トトビンゴは事前に指定された6試合のなかで、最初の4点と最後の3点が何分に入るかを当てるものである。
日本では1964年(昭和39)東京オリンピックの資金調達のため計画されたことがあるが実現しなかった。しかし、1998年(平成10)に「スポーツ振興投票の実施などに関する法律」が議員立法により成立、2001年3月からサッカーくじ(スポーツ振興投票、通称トトtoto)がスタートした。
[倉茂貞助]
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サッカーを意味するイタリア語カルチョcalcioと賭金の合計を意味するトタリザトーレtotalizzatoreの合成語でスポーツ賭博の一つ。日本ではサッカーくじとも呼ばれる。1870年フランス人ピエール・オラーが賭金総額から経費を差し引いた残額を各人の賭金に応じて配当する計算の原理パリミュチュエルparimutuelを考案した。この方式は87年からフランスの競馬の賞金計算に,1908年にはアメリカとカナダの競馬の配当金計算に用いられた。20年の計算機導入以後は世界各国の競馬とドッグレースの配当金計算に使われた。40年代にイタリアの国内オリンピック委員会が選手派遣の資金調達のためロッテリー(富くじ)と組み合わせたパリミュチュエル方式をサッカー試合に適用した。原則として,任意の12組の試合の勝敗全部を当てるしくみで,莫大な賞金が当たるところからたちまちイタリア全土に広まった。ヨーロッパや中南米の諸国で公認されており,東ヨーロッパ内のサッカー試合の賭にも採用されている。
執筆者:増川 宏一
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