トルココーヒー

大辞林 第三版の解説

トルココーヒー

コーヒー豆に砂糖を加えてすりつぶし、ポットで水から煮出した濃いコーヒー。フィルターなどで濾さず、デミタスカップで上澄みを飲む。ターキッシュコーヒー。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

百科事典マイペディアの解説

トルココーヒー

2013年,〈トルココーヒーの文化と伝統〉がユネスコ世界無形文化遺産に登録された。イスラム圏にコーヒーが知られるようになったのは10世紀前後に著名な医学者ラージーが〈古来エチオピアに原生していたブンの種実を砕いて煮出した汁液ブンカムは一種の薬として胃によい〉と記したのが最初で,これはまたコーヒーについての世界最初の文献でもある。ブンは,コーヒーノキとその種実の原始名で,ブンカムはその生豆を乾燥し,煎らずに砕いて煮出した麦わら色の液体であった。アラブ世界でそれが飲用されはじめたのは11世紀に入ってからで,哲学者,医学者として著名なアビセンナ(イブン・シーナー)は,具体的な飲用法を書き残した。その後2世紀ほど生豆による飲用が続いていたが,13世紀半ばころになって,豆をいって煮出すようになり,色は黒く,苦みはあるが香りの高いものに一変した。快い刺激と興奮をもたらすその飲料は,コーランで酒を禁止されているイスラム教徒によって熱狂的に歓迎され,薬用よりも日常的な飲料として定着していった。なかでも神秘主義者の間で夜間の勤行を助ける眠気覚ましとして好まれた。すでにブンとは呼ばず,一種の酒の名をとって〈カフワ〉というようにもなった。このアラビア語がトルコに入って〈カフウェ〉となり,やがて17世紀にヨーロッパ各地に広まり,コーヒーまたはカフェという世界的な通用語を生むに至ったのである。トルコへは1517年セリム1世のエジプト遠征によって伝わった。1554年にはイスタンブールに最初の華麗なコーヒー店(カフウェハーネ)が開かれた。コーヒーに対する熱狂的ともいうべき風潮やコーヒー店でかわされる政治談議や詩の朗読会などが,為政者にとって危険な現象と映じ,コーヒー店やコーヒーの飲用に干渉,弾圧が加えられることもあった。他方,同じ16世紀中ごろイスラム教界の長老アブド・アルカーディルは,コーヒーについての知識をまとめた一書を記しコーヒーを賛美した。その手写本は,ルイ14世によってトルコからフランスに移され,コーヒーの来歴を伝える唯一の文献としてパリのビブリオテーク・ナシヨナルに所蔵されている。コーヒーはイスタンブールを首都とするオスマン帝国からバルカン諸国,ヨーロッパ圏に伝わり,17世紀から18世紀にかけてヨーロッパ全体に広まった。パリやロンドンでカフェやコーヒー・ハウスを社交の場とするコーヒー文化が開花するのである。
→関連項目無形文化遺産保護条約

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