ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドミチアヌス」の意味・わかりやすい解説
ドミチアヌス
Domitianus, Titus Flavius
[没]96.9.18.
ローマ皇帝 (在位 81~96) 。ウェスパシアヌス帝の次男。 70年に法務官 (プラエトル ) 。ライン地方を征討して認められ,父帝のもとで6度執政官 (コンスル ) となった。兄チツスに子がなく,その後継者とされていたが,父の死後チツスと対立,暗殺に加担したといわれる。そのため即位後は元老院の憎しみを買い,要職に自由農民,騎士身分 (エクイテス ) を取立てた。行政,司法に関しては厳格で,ぶどう酒 (ワイン) のイタリア流入を制限するため,属州のぶどう園の半分を取りつぶすという勅令などは不評を買った。執政官,監察官 (ケンソル ) を兼任し,元老院を押え,ギリシア風の衣冠,競技を採用し,神々の間に立つ自身の像を造らせ,「主にして神」 dominus et deusの称号を用いるなど皇帝神格化に努めた。 89年上ゲルマニア総督 L.サツルニヌスが反乱を起し,これを鎮圧してからは陰謀を恐れて有力者の処刑,財産没収を行い,恐怖政治を現出した。その間キリスト教徒の弾圧,大建造物,別荘の造営を行わせた。 96年妻のロンギナや後継者のネルウァらの陰謀によって側近に暗殺された。
ドミチアヌス
Domitianus, Titus Flavius
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