改訂新版 世界大百科事典 「ネルウァ」の意味・わかりやすい解説
ネルウァ
Marcus Cocceius Nerva
生没年:30ころ-98
いわゆる五賢帝時代の最初のローマ皇帝。在位96-98年。同名の法学者の孫。彼自身法学者としても名高く,2度コンスル(執政官)を務めた。96年9月ドミティアヌス帝暗殺後,元老院に推挙されて皇帝に就任。その在位期間は短かったが,前帝の恐怖政治による混乱と浪費による財政難を克服して,貧農への土地割当て,穀物配給制や水道の整備などを行い,対外関係でもおおむね平和を保ち,続く2世紀のローマの繁栄への道を開いた。子どもがなく,しかも軍の支持を欠いていたので,有能な軍人トラヤヌスを養子とし,同時に事実上の共同統治者とした。以後,優秀な人物を後継者として皇帝の養子とする帝位継承法が踏襲された。死後,神格化された。
執筆者:島 創平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報