ナス科(読み)なすか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナス科」の意味・わかりやすい解説

ナス科
なすか
[学] Solanaceae

双子葉植物、合弁花類。草本または低木。葉は互生し、単葉または羽状複葉をなし、托葉(たくよう)はない。花は両性で放射相称、まれに左右相称、5数性である。花冠は漏斗(ろうと)形、鐘形、高坏(たかつき)形などで、普通5裂、まれに4または6裂し、つぼみのときは中で扇形に畳まれている。子房は上位で2室からなり、中軸胎座に多数の胚珠(はいしゅ)をつける。果実は液果または蒴果(さくか)で、多数の種子がある。世界に90属約2000種、日本に8属約20種が自生し、帰化種に8属32種以上の記録がある。日本ではペチュニア属、サルピグロシス属、シザンサス属、ニーレンベルギア属などが観賞用に栽培される。ナス属、トマト属、トウガラシ属、タバコ属、クコ属などに重要な有用植物がある。またアルカロイドを含み、ハシリドコロ属、チョウセンアサガオ属などに有毒植物があり、薬用ともする。

[高橋秀男 2021年6月21日]

 APG分類でもナス科とされる。この分類による2018年のデータでは世界に約100属2700種があり、日本では7属20種が自生し、そのほか、多数の帰化種や栽培種がみられる。

[編集部 2021年6月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナス科」の意味・わかりやすい解説

ナス科
ナスか
Solanaceae

双子葉植物ハナノシノブ目の1科。いわゆる合弁花をつける一群で世界全域の熱帯温帯に約 90属 2000種が知られ,特に中央アメリカと南アメリカに分化の中心がある。一年草,多年草,小型の木本などさまざまで,ナス,トマト,ジャガイモなど食用として重要なものが多いが,一方,有毒植物も多い。またタバコやチョウセンアサガオなどのようにアルカロイドを含んで薬用とされるものもある。一般に葉は互生し,花は5数性,花冠は合着して筒形,鐘形,または皿状をなす。おしべの葯 (やく) は先端に孔があってここから花粉を出す。めしべの子房は側膜胎座で多数の胚珠があり,果実には大量の種子を生じる。日本には約6属 20種がある。

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