ナフタレンスルホン酸(読み)ナフタレンスルホンサン

化学辞典 第2版 「ナフタレンスルホン酸」の解説

ナフタレンスルホン酸
ナフタレンスルホンサン
naphthalenesulfonic acid

C10H8O3S(208.23).C10H7SO3H.1-および2-ナフタレンスルホン酸の2種類の異性体があり,スルホン化の条件によって両者の生成比が異なる.すなわち,ナフタレンを硫酸と反応させる際,一般に低温(80 ℃)短時間では1-ナフタレンスルホン酸が,高温(160 ℃)長時間では2-ナフタレンスルホン酸が主として得られる.1-ナフタレンスルホン酸は希塩酸から再結晶した二水和物で,融点90 ℃.水やエタノールに易溶.Ka 0.18×10-3(25 ℃).2-ナフタレンスルホン酸は希塩酸から再結晶した三水和物で,融点83 ℃.これを室温で乾燥した一水和物は,融点124 ℃.Ka 0.25×10-3(25 ℃).多くの有機溶媒可溶.いずれもアルカリ融解によりナフトールをつくるのに用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナフタレンスルホン酸」の意味・わかりやすい解説

ナフタレンスルホン酸
なふたれんするほんさん
naphthalenesulfonic acid

ナフタレンの誘導体一種。ナフタレンに濃硫酸を作用させると得られる。ナフタレンと等モルの100%硫酸を用いて、80℃でスルホン化すると1-ナフタレンスルホン酸がおもな生成物であるが、150~160℃で反応させると2-ナフタレンスルホン酸がおもな生成物となる。両者の混合物を鉛またはカルシウム塩にすると、1-ナフタレンスルホン酸塩のほうが水に溶けやすいので両者の分離に利用できる。いずれもナフトールを製造する原料としての用途をもつ()。

[廣田 穰 2015年3月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android