精選版 日本国語大辞典 「傷害罪」の意味・読み・例文・類語
しょうがい‐ざい シャウガイ‥【傷害罪】
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他人の身体を傷害する罪で、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる(刑法204条)。「傷害」の意義については、(1)人の身体の完全性を害することと解する説、(2)人の生理的機能(または健康状態)を害することと解する説、(3)人の生理的機能を害することのほか、身体の外貌(がいぼう)に著しい変化を与えることと解する説、の3説がある。いずれの説においても、外傷、骨折、病気の悪化、めまいや嘔吐(おうと)など生理的機能の侵害がこれにあたることは同じであるが、たとえば、頭髪や髭(ひげ)を切除するなど、人の身体の外貌に変化を与えたにすぎない場合が問題となる。判例は、頭髪や髭を切断・剃去(ていきょ)する行為は「直ちに健康状態の不良変更」をもたらさないとの理由で、傷害罪ではなく暴行罪(同法208条)にすぎないと解していた。これに対し、先の(2)や(3)の立場からは、この種の行為も程度が著しい場合には、本罪が成立するものとの批判がある。
刑法が暴行罪につき「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」(208条)と規定しているところから、傷害罪の故意に関し、(1)傷害の故意を要すると解する故意犯説、(2)暴行罪の結果的加重犯であるから、暴行の故意があれば足り、傷害の故意を要しないとする結果的加重犯説、(3)故意犯が原則であるが、結果的加重犯でもあるとする折衷説、の3説がある。このうち、従来の通説・判例は結果的加重犯説にたっていたが、今日では、むしろ(3)の折衷説が通説的見解となっている。この折衷説によれば、傷害罪が成立するためには原則として、傷害の故意を要するが、暴行の意思で人を傷害する場合も刑法第208条により本罪にあたるものと解される。
なお、刑法には、傷害罪につき、次のような特例がある。まず、刑法第206条は、傷害罪または傷害致死罪の犯行現場において、単に「勢いを助けた」行為、たとえば、弥次馬(やじうま)的にことばや動作で声援を送る場合を、傷害現場助勢罪として、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処している。次に、刑法第207条は、「2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による」と規定している。これが「同時傷害」であり、同時暴行により人を傷害した場合を、立証の困難さを考慮して、傷害の共同正犯として処罰する特例である。なお、暴行につき意思の連絡がある場合には、刑法第60条の共同正犯として処理される。
[名和鐵郎]
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