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傷害罪 しょうがいざいKörperverletzung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

傷害罪
しょうがいざい
Körperverletzung

人の身体損傷し生理的機能に障害を生じさせることによって成立する犯罪をいう (刑法 204) 。本は暴行を手段とする場合に限らず,無言の電話を繰返し,神経症に陥らせる行為も含む。外国の諸立法では,傷害の手段の相違,結果の軽重によって多くの犯罪類型を規定し,刑に軽重を設けている例もあるが,日本の現行刑法ではそのような区別は設けられていない。ただし,傷害の結果,意図せずに相手を死亡させた場合には傷害致死罪として刑が加重される。また,暴力行為等処罰に関する法律には加重傷害罪の規定がある (1条ノ2) 。

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デジタル大辞泉の解説

しょうがい‐ざい〔シヤウガイ‐〕【傷害罪】

他人の身体に故意に損傷を与える罪。刑法第204条が禁じ、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。→暴行罪

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百科事典マイペディアの解説

傷害罪【しょうがいざい】

他人の身体に傷害を与える罪で,刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法204条。2004年改正)。傷害とは身体の完全性を害することであり,生活機能に障害を与える場合,体や外貌(がいぼう)に損傷を与える場合も含む。
→関連項目過失傷害罪殺人罪暴行罪

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうがいざい【傷害罪】

狭義には刑法204条〈人の身体を傷害した者は,10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する〉の規定する犯罪をいうが,広義でこれを含めて刑法が第27章(204条~208条の2)〈傷害の罪〉として規定する犯罪をいう場合もある。〈暴力行為等処罰ニ関スル法律〉(1条~1条ノ3)は,集団的暴行,凶器による傷害,常習暴行・傷害を加重して処罰している。 傷害罪が成立するためには傷害結果が生ずることを要するが,判例は,人の生理的機能の障害によってその健康状態を不良に変更することが傷害であるとし(生理機能障害説),身体的・精神的病気の惹起がこれにあたるとするが,人の頭髪を切断する行為は健康状態を不良にすることがないので傷害ではないとしている。

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大辞林 第三版の解説

しょうがいざい【傷害罪】

他人の身体に損傷を与えることによって成立する罪。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

傷害罪
しょうがいざい

他人の身体を傷害する罪で、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる(刑法204条)。「傷害」の意義については、(1)人の身体の完全性を害することと解する説、(2)人の生理的機能(または健康状態)を害することと解する説、(3)人の生理的機能を害することのほか、身体の外貌(がいぼう)に著しい変化を与えることと解する説、の3説がある。いずれの説においても、外傷、骨折、病気の悪化、めまいや嘔吐(おうと)など生理的機能の侵害がこれにあたることは同じであるが、たとえば、頭髪や髭(ひげ)を切除するなど、人の身体の外貌に変化を与えたにすぎない場合が問題となる。判例は、頭髪や髭を切断・剃去(ていきょ)する行為は「直ちに健康状態の不良変更」をもたらさないとの理由で、傷害罪ではなく暴行罪(同法208条)にすぎないと解していた。これに対し、先の(2)や(3)の立場からは、この種の行為も程度が著しい場合には、本罪が成立するものとの批判がある。
 刑法が暴行罪につき「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」(208条)と規定しているところから、傷害罪の故意に関し、(1)傷害の故意を要すると解する故意犯説、(2)暴行罪の結果的加重犯であるから、暴行の故意があれば足り、傷害の故意を要しないとする結果的加重犯説、(3)故意犯が原則であるが、結果的加重犯でもあるとする折衷説、の3説がある。このうち、従来の通説・判例は結果的加重犯説にたっていたが、今日では、むしろ(3)の折衷説が通説的見解となっている。この折衷説によれば、傷害罪が成立するためには原則として、傷害の故意を要するが、暴行の意思で人を傷害する場合も刑法第208条により本罪にあたるものと解される。
 なお、刑法には、傷害罪につき、次のような特例がある。まず、刑法第206条は、傷害罪または傷害致死罪の犯行現場において、単に「勢いを助けた」行為、たとえば、弥次馬(やじうま)的にことばや動作で声援を送る場合を、傷害現場助勢罪として、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処している。次に、刑法第207条は、「2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による」と規定している。これが「同時傷害」であり、同時暴行により人を傷害した場合を、立証の困難さを考慮して、傷害の共同正犯として処罰する特例である。なお、暴行につき意思の連絡がある場合には、刑法第60条の共同正犯として処理される。[名和鐵郎]

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