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ニホンオオカミ (日本狼)
Japanese wolf
Canis hodophilax
ヤマイヌとも呼ばれたオオカミの1種。食肉目イヌ科の哺乳類。かつて本州,四国,九州に分布していたが絶滅した。体長105cm,尾長30cmほど。体はタイリクオオカミより小型で,吻(ふん)は短く幅が広く,四肢や耳介も短く小さい。頭骨の形態はタイリクオオカミと著しく異なり,額の高まりがなく,耳の骨が小さい。また,側頭窩と呼ばれる部分の下部にある神経や血管の通ずる小孔がタイリクオオカミやイヌでは5個であるのに対し,ニホンオオカミでは多くは6個で,リカオンやドールに類似することなどから,本種はきわめて原始的なオオカミであると考えられる。
詳しい生態などは不明であるが,小さな群れをなし,主として夜行性で,シカやイノシシなどを捕食した。馬産地の東北地方では家畜のウマがしばしば襲われた。捕獲されたヤマイヌの子は,肉食はするが他の食物は食べず,決して人になれず,成長するにつれて昼間は物陰に隠れ,人が手を出すと食いつくように気色ばんだという。1905年に奈良県鷲家口で捕獲されたものが最後の記録となり,絶滅した。その原因は狂犬病やジステンパーの流行,開拓の進行と餌のシカの減少が複合的に作用したものとみられている。
なお,北海道に分布していたエゾオオカミCanis lupus hattaiはタイリクオオカミの1亜種で,体長125cm,尾長34cmほどである。1900年ころ絶滅したといわれている。
→オオカミ
執筆者:今泉 忠明
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ニホンオオカミ
にほんおおかみ / 日本狼
Japanese wolf
[学] Canis hodophilax
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科の動物。ヤマイヌともいう。本州、四国、九州の特産。体長82~110センチメートル、尾長30センチメートル前後。タイリクオオカミに似るが、より原始的な種で、四肢、耳介、吻(ふん)が短く、額が高まらない。体は灰褐色で背が黒く、目の周りに淡色斑(はん)がない。頬(ほお)と四肢の内面は白色。シカを主食とし、ウマなどを襲うので恐れられていたが、1905年(明治38)に奈良県の鷲家口(わしかぐち)で捕獲された若い雄を最後に絶滅したとみられる。国内には剥製(はくせい)が3点、全身骨格が1点しか残っていない。
[今泉吉典]
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ニホンオオカミ
学名:Canis lupus hodophilax
種名 / ニホンオオカミ
科名 / イヌ科
解説 / オオカミの亜種です。1905年ごろから記録がありません。
体長 / 1.2~1.3m/尾長27~40cm
体重 / 不明
食物 / シカ、ノウサギ、ネズミと考えられている
分布 / 日本(本州、四国、九州)
絶滅危惧種 / ☆絶滅
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ニホンオオカミ
Canis lupus hodophilax; Japanese wolf
食肉目イヌ科。ヤマイヌともいう。オオカミのなかでは最も小型で,体長 1m,尾長 30cm内外。前後肢が短い。1905年に奈良県吉野郡鷲家口(わしかぐち)で捕獲されたものが日本における最後の記録で,標本数はきわめて少ない。剥製は世界中で 5体しか残っていない絶滅種とされている。現在もまだ生存しているという説もあるが,真偽のほどは明らかでない。
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百科事典マイペディア
「ニホンオオカミ」の意味・わかりやすい解説
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世界大百科事典(旧版)内のニホンオオカミの言及
【ヤマイヌ(山犬)】より
…ニホンオオカミ(イラスト),あるいはホンドオオカミの別名とされる。かつて本州,四国,九州に分布したが,1905年1月に奈良県鷲家口で採集されたものを最後に絶滅したとされる。この個体はとくにワシカグチオオカミと称され,標本が大英博物館に保存されている。ヤマイヌはオオカミ中最小の亜種とされることもあるが,口先が短く幅広く,肢も耳も短小であるほか,頭骨にもユーラシアと北アメリカのタイリクオオカミとは明らかに異なる特徴があるため,独立種と考えられる。…
【オオカミ(狼)】より
…イヌのハスキー,シェパードなどの品種に似た大型のイヌ科イヌ属に属する数種の哺乳類の総称。タイリクオオカミ,ニホンオオカミ,アメリカアカオオカミの3種がある。
【種類】
タイリクオオカミCanis lupus(イラスト)は,ハイイロオオカミ(英名gray wolf),シンリンオオカミ(英名timber wolf)とも呼ばれ,かつてはヨーロッパ,アジア,北アメリカのほとんど全域とメキシコに広く分布したが,今では西ヨーロッパとアメリカ合衆国の大部分からほとんど姿を消し,イギリス,ポーランド,スイス,北海道などでは絶滅した。…
【ヤマイヌ(山犬)】より
…ニホンオオカミ(イラスト),あるいはホンドオオカミの別名とされる。かつて本州,四国,九州に分布したが,1905年1月に奈良県鷲家口で採集されたものを最後に絶滅したとされる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」