ネイミア

百科事典マイペディア 「ネイミア」の意味・わかりやすい解説

ネイミア

英国歴史家,〈ネイミア主義〉と呼ばれる歴史学の方法論を開拓した。ユダヤ系ポーランド人で本名はニーミロフスキーLudwik Bernstein vel Nimirowski。オックスフォード大学で近代史を専攻。1913年英国に帰化してネイミアと改姓。情報局勤務などを経て母校に帰り,18世紀英国史の研究に没頭し,その成果を《ジョージ3世即位時の政治構造》(1929年),《アメリカ革命時代のイングランド》(1930年)として刊行議会の個々の議員の精密な伝記的研究を通して議会史を書き上げるという手法をとり,18世紀に二大政党制と責任内閣の出現を認める通史に対して,破壊的な打撃を加え,今日の英国における実証史学の主流を形成する原点となった。1931年マンチェスター大学教授(−1953年)。1951年議会によって設立された〈議会史研究財団〉の中心的な存在になり,みずからも18世紀を担当したが完成前に死去。なお,そのシオニズム活動を反映させたヨーロッパ近・現代史の著作も多い。
→関連項目バターフィールド

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ネイミア」の解説

ネイミア
Lewis Bernstein Namier

1888~1960

イギリスの歴史家。ロシア系ポーランド人。オクスフォード大学で学び,1913年イギリスに帰化。18世紀政治史を専攻し,『ジョージ3世即位時の政治構造』によって,この時期に二大政党制と責任内閣制の出現を認める通説的理解に破壊的な打撃を与えた。また議員の詳密な伝記的研究にもとづく実証的な研究方法を提唱して,「ネイミア主義」なる歴史学方法論を開拓して,大きな影響力を及ぼした。シオニズム立場に立つ歴史著作も多い。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報