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二大政党制 にだいせいとうせいtwo-party system

翻訳|two-party system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

二大政党制
にだいせいとうせい
two-party system

常に,(1) せいぜい2つの政党だけが権力を獲得する真の機会を有していること,(2) そのうち一方が必要な議会内過半数議席を獲得することができ,第三党からの支持なしに政権を担当しうること,(3) そして長期にわたって2つの政党が交代に政権を担当することを要件として成立する政党制。比較的単純なシステムであること,それを実践している国が政治的・政治学的に重要な国であったこと,および政党制のカテゴリーとして過度の理論化が行われたことが理由になって,最も知られている政党政治システムであるが,現実に行われている国はごく少く,G.サルトリは,厳密な意味でイギリス,アメリカ,ニュージーランドの3ヵ国であると述べている。なお,二党制には有権者の選択肢を制限し,新しい政治的潮流の誕生を阻止し,真の選択を不可能にするという構造的な短所がある。 (→多党制 )  

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知恵蔵の解説

二大政党制

政党の数に注目して政党システムを分類することにはあまり意味はない。ある程度政策的な基軸を持ち、数の上でも政権の主軸となれる政党が2つ存在することが、二大政党制の要件である。多党制で連立政権が常態化しているドイツや北欧の国々でも、政権を担いうる左右の主軸政党ははっきりしている。これを二極的政党システムと呼ぶ。二大(二極)政党制は、19世紀以来の階級対立に起源を持っている。政策的対立軸が曖昧になったといわれる今日でも、各政党の固有の支持基盤、政策的志向性は保たれている。日本では、1990年代以来、一党優位体制の克服、政権交代可能なシステムの確立が叫ばれる中、二大政党制の必要がいわれている。しかし、日本においては自民党に対抗する民主党も非自民という共通項しかない雑居政党である。したがって、数の上で拮抗しても、対立の構図が明確になっていない。小選挙区制は少数政党を淘汰するため、二大政党化の傾向は続くと思われるが、国民に有意義な選択肢を提供するためには、政党の基軸を明確にすることが必要である。

(山口二郎 北海道大学教授 / 2007年)

二大政党制

衆院選の小選挙区制導入には、政治の決断が明確になるよう二大政党制を実現するという小沢一郎らの狙いがあった。実際、1996年10月の総選挙では自民党と新進党が対決するという構図が生まれた。しかし、その後、新進党は解党、自民党に戻る議員が相次いだ。98年7月の参院選で自民党が惨敗し、民主党が躍進したことから、二大政党制は衆院よりも参院で一歩進んだ格好になった。自民党は自由、公明両党と連立を組み(その後自由党が分裂し、自由党内の連立維持勢力が保守党として連立に残った)、2000年6月の総選挙では3党連立の継続を訴えた。民主党は自公保連立を批判、総選挙で95議席から127議席に躍進し、「自民党と対決する二大政党の一翼を担う勢力になった」と評価した。01年7月の参院選では民主党の議席は微増にとどまり、二大政党制は進まなかった。自民党に対抗する勢力結成のため、民主党と自由党が合流、03年9月に新しい民主党として発足した。その直後の総選挙で、民主党は解散前の137議席から177議席に大きく勢力を拡大。自民党の237議席に迫った。04年の参院選では民主党が50議席で自民党の49議席を超えた。この間、共産、社民両党は議席を大きく減らし、自民、民主両党による二大政党制に大きく前進した。しかし、05年総選挙では自民党が296議席を得たのに対して、民主党は113議席にとどまり、二大政党制の流れは停滞した。

(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

にだいせいとう‐せい〔ニダイセイタウ‐〕【二大政党制】

二つの大政党が相互に政権を争い、選挙で勝った党が政権を担当する政党政治。米国の共和党民主党、英国の保守党労働党などの例が典型。二党制。
[補説]日本では戦後、自由民主党による一党優位体制が続いたが、平成21年(2009)に民主党を中心とする連立政権が発足し、政権交代可能な二大政党制に近づいたとされた。一方、英国では、2010年の総選挙において、どの政党も過半数の議席を獲得できない状態(ハングパーラメント)が生じ、第一党の保守党と第三党の自由民主党が連立政権を発足。二度の世界大戦や大恐慌下での連立・挙国一致内閣などを除いて、19世紀から長く続いた二大政党制が転換点を迎えたとの見方もある。

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百科事典マイペディアの解説

二大政党制【にだいせいとうせい】

政党政治において,二大政党が交互に政権を担当する体制。英国の保守党労働党,米国の民主党共和党によるものはこの例。
→関連項目一党制55年体制

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大辞林 第三版の解説

にだいせいとうせい【二大政党制】

二つの大政党が議席の大半を占め、選挙で勝利した政党が単独で政権を担当する政党政治形態。イギリスの労働党と保守党によるものが代表的。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

二大政党制
にだいせいとうせい

政権担当能力のある二大政党のうち、選挙で勝利した政党が政権を担当し、敗北した政党が野党となる政権交替の方式。イギリスの保守党と労働党の場合がその典型例。ただしイギリスでも第三党として自由民主党(旧自由党が改名)が存在するが、自由民主党の場合にはほとんど政権担当能力はないから、イギリスを二大政党制をとる国とよんでも差し支えないだろう。またアメリカも、民主党と共和党の二大政党からなるが、両党からそれぞれ推薦される各1名の大統領候補は国会議員とは別の方法で選出されるので、政権を担当する大統領政府(内閣)と議会内多数党とはかならずしも一致しない場合がある。したがって、アメリカの場合には、厳密な意味での二大政党制とはいえないが、二大政党のうちいずれかが与党もしくは野党として行動するから、広義の意味で二大政党制をとる国といってもよいだろう。二大政党制の長所としては、政権交替がスムーズに行われ、政局が安定するという点があげられる。古来、政党政治の理想として二大政党制が引き合いに出されるのはこのためである。短所としては、今日のように国民の間に多種多様な利害が存在する複雑な社会において、二つの政党だけではたして国民の意志を十分に反映できるかどうか、という問題が指摘されている。したがって、現代国家においては、イギリスやアメリカのような二大政党制をとる国はむしろ例外であって、多党制をとっているのが普通である。この場合、第一党が単独であるいは連立によって政権を担当することになるが、オランダ、ベルギーなどのように、連立政権が常態化し、しかも政局が安定している国も出てきている。第二次世界大戦後の日本では、1955年(昭和30)以来、自由民主党と日本社会党の変則的な二大政党制(両党の比率は約3対1であった)が長らく続いた。しかし、1994年(平成6)に小選挙区比例代表並立制という選挙制度が採択されて、ようやく自由民主党と民主党という二大政党制が形成されてきつつある。[田中 浩]
『L・トッド著、岡沢憲英訳『連合政権考証』(1977・政治広報センター) ▽篠原一編『連合政治』(1984・岩波書店)』

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世界大百科事典内の二大政党制の言及

【アメリカ合衆国】より

…事実,初代大統領ワシントンの場合を除き,1796年の選挙には,与党フェデラリスツに対する野党リパブリカンズの組織化がトマス・ジェファソンの指導の下に行われ,政党の戦いによる大統領選挙が行われている。 アメリカの政党制の特色としては,まず二大政党制をあげることができる。これは選挙が1区1名の小選挙区によって行われるため,死票を避ける意味で投票が二つの政党に集中する結果といえよう。…

【55年体制】より

…1955年(昭和30)秋に,左右両派社会党の統一によって再発足した日本社会党と,日本民主党と自由党の保守合同によって結成された自由民主党の2党を軸として成立した政党制をいう。
[背景]
 1951年にサンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約の締結への賛否をめぐって左右両派の対立が激化,分裂してから4年ぶりに統一した社会党と,戦後の保守勢力の離合集散に終止符を打って誕生した自民党によって,政治勢力が2極的に配置される形となり,この体制は,二大政党制の幕開けとして広く歓迎された。実際に,この体制成立後の最初の総選挙であった58年衆議院総選挙で,両党の合計得票率,議席率は,それぞれ91%,97%に達し,両党以外で候補者を立てた唯一の政党であった日本共産党は1議席を獲得したにすぎなかったといった点に,自社両党の〈二大政党制〉への世論の反応がうかがわれよう。…

【政党制】より

…一党制下では,複数政党間の政権交代を含意する民主的政党政治は実現されない。二党制は,日本では二大政党制とも呼ばれるが,単に2政党を構成要素とする政党制を意味するのではなく,厳密には,(1)政権を掌握する真の可能性をもつ政党が二つある,(2)これらの2政党中の一方が,第三党の援助なしに政権担当に必要な多数を獲得できる,(3)長期にわたって,これらの2政党が交互に政権を担当してきた,などの条件を満たす政党制を指す。この意味での二党制は典型的にはアメリカやイギリスにみられる。…

※「二大政党制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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