ネムルット・ダー(読み)ネムルットダー

百科事典マイペディア 「ネムルット・ダー」の意味・わかりやすい解説

ネムルット・ダー

トルコの南東部にあるヘレニズム時代の遺構。ネムルット山の山頂にコンマゲネ王国アンティオコス1世の墓がある。高さ約50mの墓の麓には王の座像のほか,ギリシアの神ゼウス,アポロンヘラクレス,女神テュケが並び,両側に2対のワシとライオンの像が配されている。これらの像はギリシア的な顔とペルシア的な服装や髪型をしており,ギリシアとオリエント混交するヘレニズム文化を象徴するものである。西側のテラスには木星水星火星などの星の配列を眺める獅子が刻まれた石版があり,紀元前62年6月7日と示してある。1987年世界文化遺産に登録。

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世界遺産詳解 「ネムルット・ダー」の解説

ネムルットダー【ネムルット-ダー】

1987年に登録された世界遺産(文化遺産)で、トルコ東南部、標高2150mのネムルツト山山頂にある円錐形墳墓。紀元前1世紀に通商で栄えた小国コンマゲネ王国の国王アンティオコス1世のものである。この墳墓の麓には東西に設けられたテラスがあり、ギリシア神話の神ゼウス、アポロン、ヘラクレス、王国の守護女神テュケ、それに王自身を加えた5体の、高さ2mほどの巨大な神像頭部が並んでいる。こうした、現存する特異な古代墳墓であることが評価され、世界遺産に登録された。◇英名はNemrut Daǧ

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