オリエント

百科事典マイペディアの解説

オリエント

ラテン語オリエンスoriens(〈日出ずるところ〉〈東方〉の意)に由来し,同じくラテン語オクキデンスoccidens(〈日没するところ〉〈西方〉の意)から来るオクシデントOccidentに対する語。本来,ローマ帝国内外の東部を指したが,帝国の東西分裂以降,西ヨーロッパが独自の歴史的世界を形成していくに従って,自らとは異質なビザンティンおよびイスラム世界,さらにはインド,中国,日本などもを意味するようになる。すなわち,最広義にはいわゆる〈近東〉〈中東〉〈極東〉を包含する語であるが,通常は文明発祥の地としての〈古代オリエント〉(メソポタミア,エジプトおよびその周辺)を指すことが多い。いずれにせよ,あくまで西ヨーロッパの自己理解にもとづく相対的概念であるとともに,その歴史観・文明観に深く根ざしたものであって,オリエントにまつわる全表象がイデオロギーの産物と言える。いわゆるオリエンタリズムが問題となるゆえんである。
→関連項目エーゲ文明中東西アジア

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世界大百科事典 第2版の解説

オリエント【Orient】

原語はラテン語のoriens〈昇る(こと)〉で,もともと〈日出づるところ〉〈東方〉という方位を指示する語であった。したがって,ローマ時代には帝国内の東部にたいしても適用され,もちろん帝国外の東方を指す場合にももちいられた。オリエントと対になる語はオクシデントOccident(ラテン語occidens〈日没するところ〉〈西方〉)であるが,西ヨーロッパの人々がみずからをオクシデントと称し,オリエントを異質の文化をもった東方世界として対置させるようになるのは,ローマ帝国が東西に分裂し,西ヨーロッパが自己の世界を形成していく過程と深くかかわっていた。

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大辞林 第三版の解説

オリエント【Orient】

世界最古の文明が形成された西アジアとエジプトの総称。古代東方。
東洋。東方諸国。 ⇔ オクシデント

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オリエント
おりえんと
Orient

インダス川から西の地中海に至る地域。すなわち、現在のイランからアラビア半島、エジプトを含めた地方をいう。ラテン語の、太陽の昇る方向、または地方を意味する「オリエンス」が語源であり、ローマ時代に、イタリア半島を中心として、西方はオクシデンス、すなわち太陽の没する地方とよばれた。ローマ時代には最初はギリシア地方を意味したが、ローマ人の地理的知識の増大、とくにアレクサンドロス大王の東征以来、オリエンスはインダス川まで拡大した。
 かつてこの地域はメソポタミア文明、エジプト文明など世界最古文明を生んだが、アレクサンドロス大王の東方遠征によって東方文明の影響を受けた。その後のオリエントの文化的基盤はギリシア文化となったが、完全にギリシア文化化されたものではなく、エジプトのコプト文化、シリアから東方のシリア文化はこの地域独特のもので、オリエント文化とよばれる固有の文化である。7世紀以降イスラム文化が興ったが、一般的にいってこの地方は大部分が不毛の砂漠や山岳地帯で、文化的後進地域であることが多かった。しかし、地理的には3大陸の接点にあたるため、東西文明交流の掛け橋としての役割を果たした。また近代から現代にかけては、軍事的にも重要な地域であるとともに、豊富な石油資源の発見以来、政治的、経済的に重要な地域ともなっている。[糸賀昌昭]

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精選版 日本国語大辞典の解説

オリエント

(Orient)
[一] エジプト、メソポタミアを中心とする小アジア・西南アジア・北アフリカ地方のこと。世界最古の文明発生地。東方。
[二] アジアの総称。特に東アジアをさす。東洋。〔外来語辞典(1914)〕

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世界大百科事典内のオリエントの言及

【アジア】より

…この場合,対応概念は同一で,語源が異なるにすぎない。ラテン語のローマ世界は,ギリシア世界より拡大したにもかかわらず,大国ローマによる平和(Pax Romana)のため東方との大規模な戦争がなかったから,オリエントの語義が地理的に拡大したとは考えられない。なおローマ帝国には,古代イオニア都市の一つのエフェソスを中心としたアジア州がおかれたが,これは現在のトルコ西部の一部の狭い地域を指すものであった。…

※「オリエント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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