ハイジャック関係法(読み)ハイジャックかんけいほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイジャック関係法」の意味・わかりやすい解説

ハイジャック関係法
ハイジャックかんけいほう

ハイジャック防止の法制。各国法 (航空法令,刑事法令) と国際条約がある。最初にハイジャックを取り上げた国際条約は,1963年に東京で署名された「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」 (東京条約,1969年発効) で,ハイジャックされた航空機の管理をその適法な機長に回復させるための措置をとり,旅客乗員の旅行を継続させ,航空機と貨物を返還することを定めている。日本は,1970年の『よど』号事件を契機にこの条約を批准し (1970.5.26.) ,これに伴い条約に定める実施法,航空法の一部改正とともに「航空機の強取等の処罰に関する法律」を制定した (昭和 45年法律 68号) 。次に 1968年以降の世界的なハイジャック急増の情勢に対処するため,1970年ハーグで「航空機の不法な奪取の防止に関する条約」 (ハーグ条約,1971年発効) が採択された。この条約は,(1) ハイジャックを犯罪とし,これに重い刑罰を科すことができるようにすることを義務づけ,(2) 裁判管轄に漏れがあるため犯人が処罰を免れることのないように,広範に裁判管轄を設定し,航空機の登録国のほか,着陸国,航空機賃借の場合の運航国,犯人の逃亡先の所在国にも裁判権を認め,(3) 犯罪人の引き渡しを強化した。日本はこの条約を 1971年4月 19日に批准した。このほかに航空機爆破,空港襲撃などのハイジャック以外の不法妨害行為 (サボタージュとも呼ぶ) も,民間航空に深刻な影響を及ぼしている現状にかんがみ,1971年モントリオールで「民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」 (モントリオール条約,1973年発効) が採択された。日本は,この条約に加入する準備として 1974年に「航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律」 (昭和 49年法律 87号) を制定,1974年7月 12日同条約に加入し,当事国となった。

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