サボタージュ(読み)さぼたーじゅ(英語表記)sabotage フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サボタージュ」の意味・わかりやすい解説

サボタージュ
さぼたーじゅ
sabotage フランス語

労働者争議手段の一つ。通常、怠業の意味で理解されているが、語源については諸説ある。代表的な説は、フランス語で木靴(きぐつ)のことをサボsabotといい、争議のとき木靴を機械に投入して生産を停止したり、木靴を履き、カタカタさせて能率を低下させたところから、労働者が行う怠業的行為にこの名がついたとする。

 サボタージュには、(1)機械や製品などの破壊をしたり、故意に不良品を生産することにより業務を妨害する積極的サボタージュ、(2)使用者や製品の悪口を外部に向けて行うことにより業務を妨害する開口サボタージュ、(3)外形的には仕事を継続しながら、意識的に使用者の指揮命令に部分的に服しない消極的サボタージュがあり、日本では(3)の意味で用いるのが普通である。時限ストを繰り返したり、部分スト(組合員の一部だけに行わせる)を職場ごとで交替して行う場合や、使用者および職制への連絡をストップする上部遮断スト、集金した金銭労働組合のほうで保管する納金ストも一種の消極的サボタージュである。この争議戦術は労働者が職場にとどまるものであるため、使用者の争議対抗行為を封じやすい。また、労働者がいちおう仕事をしているので賃金カットも困難である。消極的サボタージュ以外は正当な争議行為といえる場合は少ない。

[吉田美喜夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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