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裁判管轄 サイバンカンカツ

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デジタル大辞泉の解説

さいばん‐かんかつ〔‐クワンカツ〕【裁判管轄】

複数の裁判所間での裁判権の分掌に関する定め。
国際法上、条約によって国際裁判所が取り扱うことができるとされる範囲。

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世界大百科事典 第2版の解説

さいばんかんかつ【裁判管轄】

多種かつ多数の裁判所の間で裁判権行使を分掌する定めをいう。単に管轄ともいう。同じ内容を表すのに裁判管轄権管轄裁判所という語も用いるが,これは視点の違いである。すなわち,特定の裁判所からみれば,その裁判所がどれだけの範囲の事件を取り扱う権限を有するか,すなわち裁判管轄権の問題となり(単に管轄権ともいう),特定の事件または人からみれば,その事件または人について管轄権を行使する裁判所はどの裁判所か,すなわち管轄裁判所の問題となるわけである。

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大辞林 第三版の解説

さいばんかんかつ【裁判管轄】

諸種の裁判所間の裁判権の配分に関する定め。裁判所の裁判権の行使の範囲。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

裁判管轄
さいばんかんかつ

複数の裁判所間で裁判権を行使する際の分掌の仕方に関する定めをいい、民事訴訟刑事訴訟国際裁判それぞれにより意味が異なる。[内田武吉・加藤哲夫]

民事訴訟における裁判管轄

日本の民事訴訟における裁判管轄権は、最高裁判所および下級裁判所において分掌しているが、ある特定の裁判所の権限とされた裁判管轄の範囲を、その裁判所の管轄という。すなわち、日本の裁判所には、最高裁判所と裁判所法によって設置された下級裁判所としての高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所および簡易裁判所があり(憲法76条、裁判所法1条、2条)、下級裁判所は同種のものが多数併存している。これらの多種多様な裁判所に、事件を分配して裁判権を行わせるについての定めを管轄と称する。したがって、裁判所の管轄は、その裁判所に分配される事件を基準として定められるから、管轄とはその裁判所に分配される事件の範囲ともいえる。しかし管轄と事務分配とはまったく異なる。事務分配は同一裁判所内における複数の裁判機関(狭義の裁判所)の間の問題であり、裁判所の外部に対する関係ではない。また管轄は裁判権とも区別することを要する。裁判権は日本の裁判所を一体とみて特定事件の審理裁判に関する権限の問題であり、管轄は裁判権のあることを前提として特定事件をどの裁判所が審理裁判するかの問題である。すべての国内事件は、かならずいずれかの裁判所の管轄に属する。
 各裁判所への事件の分配について民事訴訟法は複数の基準を設けており、その分配の基準が異なることにより異なった管轄の分類をしている。おもなものは、(1)審級管轄、事物管轄、土地管轄、職務管轄、(2)任意管轄、専属管轄、(3)法定管轄、指定管轄、合意管轄、応訴管轄、などである。ある裁判所が特定事件について管轄権を有するか否かは本案判決をするための前提要件たる訴訟要件の問題である。管轄は起訴(訴えの提起)のときを標準として定められるから(15条)、一度定まった管轄は起訴後管轄を定める事柄に変更があっても影響されない。たとえば、被告の住所が変わっても影響はない。裁判所は管轄の有無については職権で調査することができるし、その場合本案審理と異なり、管轄に関する事項については職権をもって証拠調べをすることができる(14条)。
 なお、控訴審においては、専属管轄違いの場合を除き、当事者は第一審裁判所が管轄権を有しなかったことを主張することはできない(299条)。特定の裁判所だけに管轄を認め、他の裁判所の管轄権を認めない専属管轄の場合、その違反があれば控訴審で主張できることはもちろん、絶対的上告理由にもなる(312条2項3号)。[内田武吉・加藤哲夫]

刑事訴訟における裁判管轄

刑事訴訟法では、裁判所の管轄とは、特定の裁判所が特定の事件について裁判をすることのできる権限のことをいう。管轄制度の認められる理由は、各裁判所に事件の適当な分配を行う必要と、被告人の利益を保護する必要とによる。法定管轄と裁定管轄とに大別され、それぞれ以下のように細分される。[内田一郎]
法定管轄
〔1〕事物管轄
 事件の軽重を標準として裁判所が第一審裁判所として有する裁判上の権限をいう。(1)簡易裁判所は、罰金以下の刑にあたる罪および選択刑として罰金が定められている罪のほか、窃盗罪、横領罪など一定の罪について事物管轄を有する(裁判所法33条1項2号)。ただし、簡易裁判所は、原則として禁錮以上の刑を科することはできない。例外として、住居侵入罪、窃盗罪、横領罪など一定の罪については3年以下の懲役を科することができる(同法33条2項)。簡易裁判所は、上の制限を超える刑を科するのが相当と認めるときは、事件を地方裁判所に移送しなければならない(同法33条3項、刑事訴訟法332条)。(2)地方裁判所は、原則として、いっさいの事件について事物管轄を有する(裁判所法24条)。(3)高等裁判所は、刑法第77条~第79条(内乱に関する罪)に係る事件につき事物管轄を有する(裁判所法16条4号)。
〔2〕土地管轄
 犯罪と特別の関係のある土地を管轄する裁判所が有する裁判上の権限をいう。最高裁判所は一つであるから土地管轄の問題は生じないが、その他の裁判所については事物管轄を有する裁判所のいずれが裁判をなすべきかの問題が生ずる。そこで、法律は、各裁判所の管轄区域を定め、この管轄区域内に特定事件の犯罪地または被告人の住所・居所・現在地があるときは、当該裁判所がその事件について管轄権をもつこととした(下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律2条)。なお、現在地とは、判例によれば、「公訴提起の当時被告人が任意もしくは適法な強制により現実に在る地域」をさすものとされている。
〔3〕審級管轄
 第一審裁判所以外の裁判所が審級の関係から有する裁判上の権限をいう。(1)高等裁判所の審級管轄は、地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決および簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴、原則として地方裁判所および家庭裁判所の決定・命令ならびに簡易裁判所の刑事に関する決定・命令に対する抗告である(裁判所法16条)。(2)最高裁判所の審級管轄は、上告および特別抗告である(同法7条)。[田口守一]
裁定管轄
〔1〕指定による管轄
 管轄裁判所が明確でない場合に、上級裁判所の決定をもって、管轄を確定することをいう。
〔2〕移転による管轄
 管轄裁判所があるのに、特別の事情によって、上級裁判所の決定をもって、その管轄権を消滅させ、他の裁判所に管轄権を生じさせることをいう。[田口守一]
管轄違い
被告事件が受訴裁判所の管轄に属しないときは、原則として、管轄違いの判決が言い渡される(刑事訴訟法329条)。ただし、土地管轄については、被告人の申立てがなければ、管轄違いの言渡しをすることはできない(同法331条1項)。[内田一郎・田口守一]

国際裁判における裁判管轄

たとえば、それぞれ異なる国に所属する企業の間で商取引に関する紛争が生じ、その解決が裁判手続に付された場合や、国際結婚の夫婦間に子供の親権確認の争いが発生した場合などに、どの国の裁判所が取り扱うかが、国際裁判における裁判管轄である。これについては国際的な取決めが明確なわけではなく、またイギリスなどの英米法とドイツなどの大陸法では考え方が異なる。一般にはそれぞれの国の国内法によって処理されており、国によって判決が異なることも十分に予想される。そのため、国際裁判を受けようとするものは、あらかじめ自己に有利な判決が得られそうな国を選んで訴訟を起こしたり、親権確認を求めたりするか、あるいは訴訟当事者間で話し合って決めねばならない。このようなことを避けるためには条約が必要であるが、裁判管轄を取り決めた条約はほとんどなく、わずかにEU(ヨーロッパ連合)の前身であるEC(ヨーロッパ共同体)の創設加盟国が1968年に署名した「民事及び商事に関する裁判管轄及び判決の執行に関する条約」がある。しかし、これも条約締結国以外の国には当てはまらない。
 また、国際間の紛争の解決を国際法に基づいて行おうとする国際裁判が、紛争当事国の合意に基づいて行われる場合には、国際裁判所に強制的管轄権がある。現在、常設の国際裁判所としてオランダのハーグに国際司法裁判所があるが、その強制的管轄権を承認している国は2007年3月時点で66か国である。[編集部]

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