ハワイガン(読み)はわいがん(英語表記)Hawaiian goose

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハワイガン」の意味・わかりやすい解説

ハワイガン
はわいがん
Hawaiian goose
[学] Branta sandvicensis

鳥綱カモ目カモ科の鳥。ハワイ諸島のハワイ島特産の小形ガンで、現地名のネネneneで広く知られる。全長70センチメートル。嘴(くちばし)は黒く小さく、足も黒色。頭頂から後頸(こうけい)はチョコレート褐色、そのほか淡褐色で羽縁が淡色のため、鱗(うろこ)状の羽色をなす。マウナ・ロア山など標高1500~2400メートルの水のない溶岩流草地斜面にすむので、足の水かきは小さい。古くは狩猟により、のちにはネコ、イヌブタネズミマングースなど輸入動物に繁殖地を荒らされ、1940~50年にかけ、30羽ほどと思われるまでに激減し国際保護鳥となった。しかし1949年にハワイ島やイギリスそのほかでの人工繁殖が始まって成功し、1960年から1970年代にかけて計1400羽以上がハワイ島およびマウイ島に放鳥された。繁殖力が弱く個体群維持には不安があるが、人工繁殖により種の維持は確保されてきた。

黒田長久


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハワイガン」の意味・わかりやすい解説

ハワイガン
Branta sandvicensis; nene

カモ目カモ科。全長 56~71cm。体は淡色の模様のある暗灰褐色で,頭部は黒く,顔から頸側に黒い縞の入った淡黄褐色の大きな斑がある。と脚は黒い。ハワイ島およびマウイ島にのみ生息していたが,マウイ島のものは絶滅し,ハワイ島でも非常に数が少ない。ハワイ島では標高 800m前後の溶岩地帯にすみ,わずかな草の根もとで営巣している。野生のものは一時 30羽ほどに減ったが,飼育繁殖した鳥を放すなどの保護によって,総個体数が数千羽まで回復した。国際保護鳥(→保護鳥)に指定されており,ヨーロッパ各地で飼養されて繁殖している。(→ガンカモ類

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