バイヤー法(読み)バイヤーホウ

デジタル大辞泉 「バイヤー法」の意味・読み・例文・類語

バイヤー‐ほう〔‐ハフ〕【バイヤー法】

ボーキサイトから純度の高い酸化アルミニウムアルミナ)を製造する方法。ボーキサイトを水酸化ナトリウムの熱溶液で処理して、不純物を濾過したのちに冷却する。沈殿した水酸化アルミニウム加熱することで脱水し、吸湿性のない高純度の酸化アルミニウムが得られる。

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化学辞典 第2版 「バイヤー法」の解説

バイヤー法
バイヤーホウ
Bayer process

ボーキサイト原料として金属アルミニウムを製錬する際の第一段階.純度の高い酸化アルミニウム(α-アルミナ)が効率的に得られる.1880年にK.J. Bayerが考案した.ボーキサイトの産地による相違に応じて操作条件は多少変わるが,水酸化ナトリウム水溶液と加圧・加熱してアルミン酸ナトリウム水溶液をつくり,ボーキサイトの不純物のケイ酸,鉄,チタンの酸化物を不溶性残さ(赤泥)として残し,カオリン系の反応性シリカを脱ケイ反応により不溶性アルミノケイ酸アルカリ塩とする.濾過されたアルミン酸ナトリウム水溶液は冷却,水酸化アルミニウムの結晶種子を加えてかくはん放置すると,加水分解して水酸化アルミニウムとして分離し,母液は調整母液としてボーキサイトの溶解工程に循環使用される.加水分解析出した水酸化アルミニウムは回転炉で過熱脱水され,α-アルミナとなる.シリカ,酸化鉄は0.02% 以下,酸化チタンはこれの数分の1程度である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイヤー法」の意味・わかりやすい解説

バイヤー法
バイヤーほう
Bayer process

1888年ドイツの K.バイヤーにより発明されたボーキサイト (アルミニウムの原鉱) の精製法。粉砕したボーキサイトを焼いて有機不純物を除き,160℃,5~7気圧で高圧蒸気,カセイソーダで処理するとアルミニウムはアルミン酸ソーダとなって溶け,不純物の鉄,チタン,ケイ素などは沈殿して赤泥となる。これをろ別してろ液に含水アルミナ Al2O3・3H2O の種子を入れ,数日攪拌すると液中の含水アルミナが沈殿してくる。これをろ別,1100℃で煆焼すれば高純度アルミナ Al2O3 が得られ,アルミニウム製錬原料となる。ホール=エルー法と合せて,19世紀末以降のアルミ大増産の基礎となった。

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百科事典マイペディア 「バイヤー法」の意味・わかりやすい解説

バイヤー法【バイヤーほう】

アルミナの工業的製法。オーストリアのK.J.バイヤーが発明(1888年)。ボーキサイトを苛性ソーダ溶液で加熱溶解してアルミン酸ナトリウムとし,ろ過後放置して得られる水酸化アルミニウムの沈殿を水洗後1200℃以上で焼成してアルミナとする。
→関連項目アルミニウム電解製錬

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改訂新版 世界大百科事典 「バイヤー法」の意味・わかりやすい解説

バイヤー法 (バイヤーほう)

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世界大百科事典(旧版)内のバイヤー法の言及

【アルミナ】より

…α型(三方晶系),β型(六方晶系),γ型(等軸晶系)があり,高温ではα型が安定である。工業的には,ボーキサイトなどのアルミナ鉱石から,1888年にオーストリアのバイヤーKarl Josef Bayerによって発明されたバイヤー法により製造するのが普通である。天然のアルミナ結晶にはコランダム(鋼玉)があり,その純粋で美しく着色したルビーやサファイアなどは宝石に使われる。…

【アルミニウム】より

…アルミニウムのこの化学的活性は,クロム,マンガン,バナジウムなどの酸化物を還元して金属を得る冶金法(テルミット法)にも利用されている。アルミニウム合金
[製法]
 金属アルミニウムは,ボーキサイトを原料とし,バイヤー法による高純度アルミナの製造,およびアルミナのホール=エルー法による電解還元によって製造される。原料のボーキサイトは,フランスの〈ボー村の土〉という語源をもち,風化によって生成した土壌のうち,アルミナ含有量が高くシリカ含有量の低いものをいう。…

※「バイヤー法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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