煆焼(読み)カショウ(英語表記)calcination

デジタル大辞泉 「煆焼」の意味・読み・例文・類語

か‐しょう〔‐セウ〕【×煆焼】

ある物質を強く熱して脱水分解などを起こさせ、揮発成分を除くこと。

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精選版 日本国語大辞典 「煆焼」の意味・読み・例文・類語

か‐しょう‥セウ【煆焼】

  1. 〘 名詞 〙 化学処理の加熱操作の一つ。試料物質を熱して、脱水、分解などを起こさせ、揮発成分を分離すること。石灰石を熱して二酸化炭素を発生させるのはその一例。〔稿本化学語彙(1900)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「煆焼」の意味・わかりやすい解説

煆焼 (かしょう)
calcination

工業的加熱操作の一つ。固体原料を加熱し,熱分解により揮発性成分を脱出させ,安定な生成物を取得する処理をいう。加熱温度は固体が融解しない範囲である。原料組成は多くの場合,水酸化物,水和物,炭酸塩硝酸塩硫酸塩,有機酸塩などであり,煆焼により,固体酸化物と揮発分(ガス)が得られる。煆焼反応を一般的に示すと,S(A)-→S(B)+G(C)(Sは固体,Gは気体,(A),(B),……は物質の種類)となる。代表的な煆焼反応は石灰石の熱分解CaCO3─→CaO+CO2である。揮発成分中の一部のみの脱出にとどめる場合(たとえば,焼セッコウ製造反応CaSO4・2H2O─→CaSO4・1/2H2O+3/2H2O)もある。また煆焼処理において,揮発成分脱出を伴わずに,固体の物理的・化学的性質の改質(結晶性発達など)を目ざすこともある。たとえばマグネシアクリンカー製造などがこれに当たる。この場合は化学組成の変化はない。これらを併せ考えれば,より広義の意味での煆焼となる。

 英語表現では同じである〈焼成〉は,S(D)+S(E)-→S(F)のように,固相間反応による高温固相合成を意味することが多い。さらに〈焙焼(ばいしよう)〉は,S(A)+G(B)-→S(C)+G(D),具体例としては[MS]+O2─→[MO]+SO2(Mは金属元素),のような固相-気相置換分解反応を目的とし,煆焼と若干意味を異にする。しかし両者を厳密に区別しないで使われることも多い。また化学分析操作で揮発成分を定量する場合,煆焼と同じ目的の加熱処理を行うが,この場合は〈強熱ignition〉といい,吸着化学分野においては〈昇温脱離ignition loss〉と呼んでいる。これらの場合は製造工業的意味をもたない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「煆焼」の意味・わかりやすい解説

煆焼
かしょう
calcining; calcination

金属の水酸化物,炭酸塩を加熱して結合水炭酸ガスを追出し,酸化物を得る方法。石灰石 CaCO3 を焼いて生石灰 CaO とするのがその例で,反応は CaCO3+加熱→CaO+CO2 である。金属製錬で重要なのは,バイヤー法で得られる高純度水酸化アルミニウムを 煆焼して純アルミナを得る工程で,反応は 2Al(OH)3+加熱→Al2O3+3H2O である。

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世界大百科事典(旧版)内の煆焼の言及

【乾燥】より

…温度が大きく変わる場合を除けば,相対湿度(関係湿度)のみによってほぼその値が決まる(図3)。
[その他の乾燥]
 結晶性塩類を高温で焼いて結晶水を除く操作を煆焼(かしよう)という。気体の乾燥を脱湿または減湿という。…

※「煆焼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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