バヒアグラス
Bahia grass
Paspalum notatum Flügge
家畜の飼料とするために,また土壌浸食防止のために,暖地で栽培されるイネ科の多年草。中央アメリカから南アメリカに分布し,日本には1956年に暖地向きの牧草として導入された。じょうぶな匍匐(ほふく)茎によってシバ状に生育し,穂が伸び出たときの草丈は50cmほどになる。穂は長さ5~7cm,多くの場合穂の基部から二叉(にさ)に分かれ,それぞれの軸の片側に小穂が2列に並ぶ。小穂には,楕円球状で長さ3~3.5mmの種子(穎果(えいか))が1個みのる。根が地中深くまで伸び,比較的干ばつに強い。しかし霜や寒さに弱く,温暖地の栽培に適する。いくつかの系統があるが,ペンサコーラPensacolaが飼料として重要である。この草丈は70cmにもなり,葉も長く生育旺盛で,比較的低温にも強い。このほかコモンCommon,アルゼンチンArgentineなどの系統がある。同属のダリスグラス(シマスズメノヒエ)も飼料作物として暖地で栽培され,熱帯域ではバヒアグラスよりも重要である。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
百科事典マイペディア
「バヒアグラス」の意味・わかりやすい解説
バヒアグラス
中米から南米に分布するイネ科の多年生野草。主に米国で牧草として栽培化され,日本には1956年に導入された。放牧および蹄傷によく耐え,耐干性が強い。土壌浸食防止に有効であるが,初期生育が遅く草地として完成するには2〜3年を要する。霜や寒さに弱く温暖地の栽培に適する。日本では九州で越冬可能だが,品種によって寒害を受けるものもある。
→関連項目スズメノヒエ
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バヒアグラス
ばひあぐらす
bahia grass
[学] Paspalum notatum Flügge
イネ科の多年草。草丈は30~70センチメートル、穂の長さは5~7センチメートル。穂軸は基部から二又に分かれ、それぞれの軸の片側に小穂が2列に並ぶ。小穂は3ミリメートルほどの楕円(だえん)状球形で、1個の穎果(えいか)が実る。深く根を張り、じょうぶな走出枝によって芝状に育つ。南アメリカ原産で、日本には1956年(昭和31)に導入され、野生化もしている。飼料や土壌侵食防止のために暖地で栽培される。
[星川清親]
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世界大百科事典(旧版)内のバヒアグラスの言及
【カール[5世]】より
…そのころドイツではルターの宗教改革運動が展開しており,カールはカトリック的な皇帝理念からこの異端の抑圧をはかったが([ウォルムス国会]),まもなくおこったフランスとの戦争のため,ドイツにおける宗教問題の解決を後回しにせざるをえなかった。25年パビアPaviaの戦でフランソア1世を破ったのちも,フランスは,ハプスブルク勢力の強大化を恐れる教皇や北イタリア諸国,さらに東方のオスマン・トルコとも手を結んで,カールに対抗した。この数次にわたる[イタリア戦争]で,最初は皇帝が優位に立ち,29年夏のカンブレー和約でミラノ,ジェノバを得,翌年にはボローニャで教皇から帝冠を受けて,イタリアにおけるヘゲモニーを確立したかに見えた。…
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