バラッシ(英語表記)Balassi Bálint

改訂新版 世界大百科事典 「バラッシ」の意味・わかりやすい解説

バラッシ
Balassi Bálint
生没年:1554-94

ハンガリー詩人貴族の出で,トルコとの戦い一生を捧げ,武勲を立てたりしたが,訴訟事件に巻き込まれるなど,波瀾に富んだ生涯を送った。その作品は民衆詩のモティーフを用いているが,人文主義教養に裏打ちされ,芸術作品の域に達している。《アンナ・ユリア》シリーズをはじめ,恋愛詩に優れている。他に宗教詩,戦いの詩も残っている。ハンガリーの詩型を生み出し,抒情詩の祖といわれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バラッシ」の意味・わかりやすい解説

バラッシ
Balassi(Balassa) Bálint

[生]1554.10.20. ゾーヨム
[没]1594.5.30. エステルゴム
ハンガリーの詩人。軍人として各地を転々とし,オスマン帝国との戦争に参加して負傷,3年後に死亡するという波乱に富んだ生涯をおくった。ハンガリー語による最初で最大の抒情詩人。バラッシー詩節と名づけられる独自の詩型を生み出し,韻文技巧家としても抜きん出ていた。恋愛をうたった抒情詩にすぐれた作品があり,連作詩『アンナに捧げる詩』 Anna-ciklus (1578~83) ,『ユーリアに捧げる詩』 Júlia-ciklus (88~89) などが有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バラッシ」の意味・わかりやすい解説

バラッシ
ばらっし
Balassi Bálint
(1554―1594)

ハンガリーの詩人。富裕な貴族の家に生まれたが、父のウィーン宮廷との対立により不遇となった。トルコ戦争での勇敢な戦士だったが、訴訟事件を繰り返し、ポーランドでの亡命生活を余儀なくされるなど、波瀾(はらん)の多い生涯を送った。作品の大部分は恋愛詩で、ハンガリー・ルネサンス期に独創的な叙情詩を創造し、形式においても独自な詩型を生み出し、ハンガリー詩の発展に貢献した。アンナ・ユリア・に寄せた一連の詩がとくに美しい。

岩崎悦子]

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世界大百科事典(旧版)内のバラッシの言及

【軍事基地】より

…ミサイルの配備方法により,奇襲攻撃に弱いことから地上配備のものを軟性基地,これに対して地中から発射可能にしたものを硬性基地,ポラリス型原子力潜水艦等で水中発射可能なものを水中基地と呼ぶことがある。軍事基地は英語ではふつうベースbaseといわれるが,アメリカ軍が使用する類似語としてバラックbarrack,キャンプcamp,フォートfortなどがある。これらはそれぞれ兵舎,一時的な駐留地,堡塁などの原義があり,base(基地,根拠地)と多少ニュアンスがことなる。…

※「バラッシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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