パスエステンソロ(その他表記)Víctor Paz Estenssoro

改訂新版 世界大百科事典 「パスエステンソロ」の意味・わかりやすい解説

パス・エステンソロ
Víctor Paz Estenssoro
生没年:1907-2001

ボリビア大統領。在任1952-56,60-64,85-89年。タリハ州に生まれ,ラ・パスのサン・アンドレス大学で経済を学び,大学教授,弁護士を経て,39年国会議員となり,41年国民革命運動(MNR)の創設に参加した。43年にクーデタを指揮して同党のビジャロエル政権を成立させるが,同政権の崩壊とともに46年アルゼンチン亡命する。亡命中もMNRを指導し51年の大統領選で当選。52年アルゼンチンに滞在したまま軍事政権打倒のクーデタ(ボリビア革命)を指導し成功させる。同年4月MNR革命政権の大統領に就任する。スズ鉱山国有化農地改革,軍の解体文盲への選挙権付与などの急進的な変革を遂行した。56年大統領を辞し,59年まで駐英大使を務める。60年の大統領選挙で再選されたが,しだいに中道化し,同時にその政権は腐敗し,64年11月軍事クーデタで退任ペルーへ亡命した。国外からMNRを指導し,71年8月に帰国し政界に復帰したが,74年1月に国外に追放された。その後,帰国して80年の大統領選挙の候補者となったが敗れ,政界より引退した。その後85年8月の大統領選挙で当選,89年8月退任。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パスエステンソロ」の意味・わかりやすい解説

パス・エステンソロ
Paz Estenssoro, Víctor

[生]1907.10.2. タリハ
[没]2001.6.7. タリハ
ボリビアの弁護士,政治家。ラパスのサンアンドレス大学で教鞭をとったのち,1941年新政党「民族革命運動」を創立した。 45年 G.ビジャロエル政権の蔵相となったが,翌年同政権崩壊後ブエノスアイレスへ亡命。 51年の選挙で民族革命運動から推されて勝ち,52~56大統領に就任。「ボリビア革命」と呼ばれる経済社会改革を実施し,三大スズ鉱山の国有化などを行なった。 56~60年はイギリス駐在大使をつとめ,60年の大統領選挙で再選,64年3選されたが,同年 11月 R.バリエントス・オルトゥニョ副大統領の軍事クーデターで打倒され,ペルーに亡命。 71年8月 H.バンセル・スアレス政権に協力のため帰国したが,74年1月再び国外に追放された。 85~89年大統領として4期目をつとめ,きびしい緊縮政策インフレを鎮静させた。

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百科事典マイペディア 「パスエステンソロ」の意味・わかりやすい解説

パス・エステンソロ

ボリビアの政治家。大学教授,弁護士を経て,1940年国会議員。1941年民族主義的革命運動(MNR)の創立に参加。アルゼンチンに亡命したまま軍事政権打倒のクーデタを指導して成功させ,1952年―1956年MNR革命政権の大統領として,スズ鉱山国有化,農地改革,軍の解体,非識字者も含めた普通選挙権法などの急進的な変革を実施。1960年再選されたが,しだいに中道化,政権は腐敗し,1964年にも当選したがクーデタで退陣,ペルーへ亡命。その後,政界に復帰し,財政破綻と経済混乱のなか,1985年大統領に返り咲いた。国営企業の民営化,国営鉱山の閉山,鉱山労働者の大量解雇などを含む緊縮財政と経済の自由化を実施してインフレ克服に成功。
→関連項目ボリビアレチン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パスエステンソロ」の意味・わかりやすい解説

パス・エステンソロ
ぱすえすてんそろ
Víctor Paz Estenssoro
(1907―2001)

ボリビアの政治家。南部のタリハ市出身。ラ・パスのサン・アンドレス大学の経済学教授から政治家となり、1941年に革新政党である国民革命運動(MNR)の創設に参加した。1943年にビジャロエル政権の財務大臣となり、1946年に同政権が崩壊するやアルゼンチンに亡命。1952年の革命でMNRが政権につくと帰国して大統領に就任し、在任中(1952~1956、1960~1964)に、錫(すず)鉱山の国有化、農地改革、非識字者への選挙権付与などの革命的改革を行った。1964年3選されるが、2期目の時期の右傾化政策や政権の腐敗などがもとで起きた軍事クーデターにより同年失脚。その後長期にわたる亡命から帰国し、1985年の選挙で奇跡の復活を遂げ同年8月4度目の大統領に就任した。1989年退任。

[加茂雄三]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「パスエステンソロ」の解説

パス・エステンソロ
Víctor Paz Estenssoro

1907~2001

ボリビア革命の指導者,大統領(在任1952~56,60~64,85~89)。1941年中間階級と革新派将校を糾合し,国家社会主義を唱える「民族主義革命運動(MNR)」を結成した。52年武装蜂起し,軍政を打倒して大統領となる。錫(すず)鉱山の国有化,農地改革など,ボリビア革命と呼ばれる社会改革を断行した。85年第3次政権を成立させ,経済自由化,緊縮財政政策を実施した。

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世界大百科事典(旧版)内のパスエステンソロの言及

【ボリビア】より

…以降97年には民主的に選ばれた5代目の文民政権が誕生しており,ボリビア政治は安定した民主政治の時代に入った。民主化過程で行われた選挙で,中道のパス・エステンソロを中心とする国民革命運動(MNR),MNR左派のシレス・スアソが左翼革命運動(MIR)や共産党と結成した人民民主連合(UDP),バンセルが結成した右派の国民民主行動党(ADN)の3極に政治地図は収斂した。80年選挙に基づき招集された国会でシレスが大統領に選ばれたが,経済混乱を深めてUDPは解体,任期を1年短縮して総選挙が行われた。…

※「パスエステンソロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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