パラナ川(読み)パラナガワ(その他表記)Río Paraná

デジタル大辞泉 「パラナ川」の意味・読み・例文・類語

パラナ‐がわ〔‐がは〕【パラナ川】

Paraná南アメリカブラジル高原に源を発し、パラグアイ川を合わせてアルゼンチン平野を流れ、ラプラタ川となって大西洋に注ぐ川。全長4500キロ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラナ川」の意味・わかりやすい解説

パラナ川
パラナがわ
Río Paraná

ポルトガル語では Rio Paraná。南アメリカ中南部を流れる川。ウルグアイ=アルゼンチン国境でウルグアイ川と合流してラプラタ川をつくる。アマゾン川に次ぐ南アメリカ第2の長い川で,全長約 4880km。流域面積約 280万 km2ブラジル南部,南緯 20°付近でパラナイバ川とグランデ川が合流してパラナ川となり,ブラジル高原とそれに続くパラナ高原に深い谷を刻みながら南南西へ流れる。ブラジル=パラグアイ国境をなしたのち,パラグアイ=アルゼンチン国境に沿って大きく西に流れを変えるとともに高原地帯を抜け,低湿地帯に出る。コリエンテス上流で再び大きく方向を転じる前に,右岸に最大の支流パラグアイ川が流入するが,ここまではアルトパラナ川とも呼ばれる。アルトパラナ川のおもな支流はティエテ,パラナパネマ,イグアスなどで,いずれも左岸に注ぐ。パラグアイ川の流入点より下流はアルゼンチン領内を南ないし南南西へ流れ,ロサリオ付近で南東へ転じ,南流してきたウルグアイ川と合流,その下流にラプラタ川と呼ばれる大三角江を形成し,大西洋に注ぐ。アルゼンチン領内のパラナ川は広大な氾濫原をゆるやかに流れ,サラド川をはじめとする多数の支流を集めるとともに,分流が多く,ロサリオ上流のディアマンテ付近からは河口の三角州をつくる分流が始る。上流域は熱帯気候,中・下流域は亜熱帯気候に属し,年降水量 1000~1500mm。通常夏季 (11月~2月) が高水位期で,8~9月の低水位期には流量は約7分の1になる。アルゼンチン,パラグアイ両国にとって重要な水路であるが,上流部には急流や滝,下流部には河水が運んでくるシルトの堆積による浅瀬などが多く,航行の障害となっている。しかし下流部は常時浚渫されており,外洋船がサンタフェまで遡航できる。また急流部や滝での乗換え,陸路による迂回を含めると,サンパウロからボリビア方面へ通じる鉄道の渡河点にあたる最上流部のジュピアまで船で達することができる。また膨大な包蔵水力を利用して,1980年ブラジルとパラグアイの国境をなす部分で両国共同によるイタイプダムが完成。水力発電所の発電能力は 1260万 kWで,世界最大級。

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改訂新版 世界大百科事典 「パラナ川」の意味・わかりやすい解説

パラナ[川]
Rio Paraná

南アメリカ大陸南東部の川。ブラジル大西洋岸の海岸山脈に源を発して西流するグランデ川,チェテ川,およびブラジル高原に源をもち南西へ流れるパラナイバ川などを合流して,ブラジルとパラグアイとの国境となり,さらにパラグアイとアルゼンチンとの国境をつくって流れ下る。コリエンテス近くでパラグアイ川と合流して南へ流れ,ロサリオを通ってブエノス・アイレスのやや上流でさらにウルグアイ川と合流して,ラ・プラタ川と呼び名が変わる。全長は約4500km。上・中流部はブラジルの文化・経済の中心地域であるサン・パウロとパラナの両州を流域としているし,下流はアルゼンチンの主要都市を通るなど,南アメリカにおいて経済的に最も重要な川である。また,下流における年間の水位変化はほぼ5mにもなり,海洋船舶はサンタ・フェまで,小型船舶ではアスンシオンまで航行が可能である。
ラ・プラタ[川]
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラナ川」の意味・わかりやすい解説

パラナ川
ぱらながわ
Rio (Río) Paraná

南アメリカ南東部を流れる川。ラ・プラタ川水系の中心をなす全長4500キロメートルの大河である。最大の支流パラグアイ川を含めた流域は、ブラジル、パラグアイ、ボリビア、アルゼンチンにわたって広がり、流域面積は275万平方キロメートルに達する。ブラジル高原上に広がる上流域と、アルゼンチンの平野を占める下流域に二分される。上流域には、ブラジルのサン・パウロ州やパラナ州などの豊かな農牧地帯が広がる。また、上流域はブラジルでもっとも重要な電源地帯で、パラナ川本・支流にはイタイプ・ダムをはじめとする多数の発電用ダムが立地する。下流域の平野はアルゼンチンの主要な農牧地帯の一部をなし、沿岸にはサンタ・フェ、ロサリオなどの都市が発達している。ロサリオにおける流量は、2月の高水期で毎秒1万7000立方メートル、9月の低水期で毎秒1万1000立方メートルと年変化が少ない。

[松本栄次]

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