サンタフェ(読み)さんたふぇ(英語表記)Santa Fé

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンタフェ」の意味・わかりやすい解説

サンタフェ
Santa Fé

アルゼンチン中北部,サンタフェ州の州都。首都ブエノスアイレスの北北西約 380km,パラナ川西岸の河港都市で,サラド川の合流点に位置する。パラナ川の対岸にはパラナがあり,橋とトンネルで結ばれる。 1573年アスンシオン (現パラグアイの首都) からやってきたスペイン人によって建設され,当時スペインの重要な植民地であったアスンシオンへの補給基地として発展,物資はパラナ川からパラグアイ川をさかのぼって運ばれた。またイエズス会の伝道中心地ともなり,学校や聖堂が建設された。現在は背後にパンパス東部の肥沃な農業地帯を控え,商工業中心地として繁栄し,食品,繊維,自動車などの工業が立地する。港湾施設は近代化され,ラプラタ川から約 400kmさかのぼってくる外洋船が接岸でき,アルゼンチンのほか,内陸国であるボリビアとパラグアイにとっても重要な貿易港となっている。文化中心地でもあり,市内には国立リトラル大学 (1919) をはじめとする高等教育機関,博物館,劇場などがある。植民地時代の古い建築物も保存されており,17世紀末に建てられた聖フランシスコなど3つの聖堂は国の歴史記念物に指定されている。水運のほか,陸上交通の要地でもあり,市から放射状鉄道道路が延びる。人口 44万 2214 (1991推計) 。

サンタフェ
Santa Fe

アメリカ合衆国,ニューメキシコ州の州都。ロッキー山系の一支脈サングレデクリスト山脈の南端で,標高 2132mの高地にある。 1610年スペイン人が入植,中央広場を囲み,用水路に沿ってつくられた。 1821年以来メキシコ領であったが,アメリカ=メキシコ戦争 (1846~48) 以後アメリカ領になる。メキシコ領時代に西部開拓の重要なルートのサンタフェ道が造られ,北部の中心地として発展した。 51年准州の首都となり,80年にサンタフェ道とほぼ平行にサンタフェ鉄道が敷設された。 1912年州都。スペイン語を話す住民が多い。肉牛,野菜,果実,コムギなどの集散地で,鉛,亜鉛,石灰を産出。スペイン風の建築物が多く,サンタフェ・カレッジ (1859創立) ,州議会議事堂,人類学研究所などがある。夏には避暑客,冬にはスキーヤーが多く訪れる。人口5万 5839 (1990) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンタフェ」の意味・わかりやすい解説

サンタ・フェ(アメリカ合衆国)
さんたふぇ
Santa Fe

アメリカ合衆国、ニュー・メキシコ州北部にある同州の州都。人口6万2203(2000)。サングレ・デ・クリスト山脈の麓(ふもと)に位置し、行政の中心であるとともに、観光・保養地でもある。産物としては、先住民(アメリカ・インディアン)の工芸品がよく知られている。1609年スペイン人によって町が建設され、スペイン人と先住民との交易の中心地となった。1680年から92年まではプエブロ・インディアンに占拠された。1821年にメキシコがスペインから独立し、サンタ・フェ・トレイルにより合衆国との交易が発展した。1846年に合衆国領となり、1880年にはサンタ・フェ鉄道がサンタ・フェまで通じた。市内にはサン・ミゲル教会(1636建設)、セント・フランシス聖堂(1869建設)、クリストレイ教会などのほかに、旧スペイン総督邸(1610建設)、人類学研究所、国際民俗芸術博物館、ナバホ・インディアン儀礼芸術博物館がある。町は先住民とメキシコ人、ヨーロッパ人の文化が混合した独特な景観をつくっている。地名はスペイン語で「神聖なる信仰」を意味する。

[菅野峰明]


サンタ・フェ(アルゼンチン)
さんたふぇ
Santa Fé

アルゼンチン中央部、サンタ・フェ州の州都。都市圏人口48万4469(2001)。パラナ川に面し、首都ブエノス・アイレスの北西483キロメートルに位置する。鉄道および道路網の要地で、対岸のパラナとは河底トンネルで結ばれる。後背地では穀作が盛んで、小麦、トウモロコシ、亜麻(あま)、米などの集散地である。サンタ・フェ州政府は19世紀なかば以降、農業入植地の建設を奨励し、サンタ・フェを中心にヨーロッパ農業移民の入植が相次いだ。穀作に加え肉牛、乳牛、ブタなどの牧畜業も盛んである。市およびその近郊には製粉、精糖、缶詰、ビール醸造、乳製品製造など食品加工工場に加え繊維、製紙、木材加工、皮革、陶器、トラクター製造などの工場がある。1573年フアン・デ・ガライにより建設され、1650年に現在の地に移転、パラナ川航行の主要港となった。また独立戦争、建国期には連邦主義派の政治運動の拠点となった。

[今井圭子]

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