ブラジル高原(読み)ブラジルこうげん(英語表記)Planalto Brasileiro

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラジル高原」の意味・わかりやすい解説

ブラジル高原
ブラジルこうげん
Planalto Brasileiro

南アメリカ中部東寄りに広がる古期の岩石から成る広大な地域。ブラジル楯状地とも呼ばれ,ブラジルの中部から南部にかけての大部分ボリビア,パラグアイ,ウルグアイの各一部を含む。狭義にはブラジルの南東部,ミナスジェライス,ゴイアス,サンパウロの3州にまたがって広がる高原地帯をさし,ブラジルでは中央高原 Planalto Centralと呼ぶ。広義のブラジル高原は,約 3000kmに及ぶブラジルの南東海岸を一辺とする三角形の傾動地塊で,急崖をなして大西洋にのぞむ沿岸部から北のアマゾン低地,西のパラナ=パラグアイ低地に向ってゆるやかに傾斜する。基盤は先カンブリア時代の花崗岩,片麻岩,結晶片岩,ケイ岩などから成るが,大部分削剥され,その上に古生代以降の地層が重なってゆるやかに起伏する丘陵や,中央高原,マトグロッソ高原などをつくっている。しかし沿岸部には古期の岩石から成るエスピニャソ,マンティケイラなどの山脈やバンデイラ山 (2890m) をはじめとする高峰が残っており,これらの部分に鉄,マンガン,金などの鉱物資源が豊かに埋蔵されている。概して南部は気候条件がよく,土壌肥沃で,農業生産性が高いが,内陸部は半乾燥地帯が多く,牧畜に利用されるほかは大部分未開発。中央高原は標高 500~1000mの台地状の高原地帯で,アマゾン,ラプラタ両水系の分水界の一部をなしており,中央部にブラジルの首都ブラジリアが立地する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラジル高原」の意味・わかりやすい解説

ブラジル高原
ぶらじるこうげん
Planalto Brasileiro

ブラジルの国土の南部3分の2余りを占めて広がる高原。南東部の大西洋沿いの部分がもっとも高く、マンティケイラ山脈など2000メートル級の山岳があるが、他の部分はおおむね1000メートル以下の高原や台地をなす。ブラジル楯状地(たてじょうち)とよばれる安定地塊で、先カンブリア時代の変成岩や深成岩よりなるが、これらの上に古生代以降の地層がほぼ水平に堆積(たいせき)している地域(パルナイーバ堆積盆地、パラナ堆積盆地など)も多い。高原の中央部の大部分は4~6か月の乾期をもつサバナ気候のもとで、セラードとよぶサバナ原野が広がり、北東部は熱帯半乾燥気候下の有刺灌木(かんぼく)林、南部は亜熱帯湿潤気候下の森林が広がっている。

[松本栄次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

期日前投票

期日前投票制度は、2003年6月11日公布、同年12月1日施行の改正公職選挙法によって創設された。投票は原則として投票日に行われるものであるが、この制度によって、選挙の公示日(告示日)の翌日から投票日...

期日前投票の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android