海岸山脈（読み）かいがんさんみゃく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

海岸山脈
かいがんさんみゃく

(1) Coast Mountains　カナダ，ブリティシュコロンビア州北西部からアメリカ合衆国，アラスカ州にまたがる山脈。南北約 1600km。太平洋岸に並行しており，北側はユーコン地方でセントエライアス山脈に接し，南はカスケード山脈につながる。西側は太平洋岸に向かい急に高度を減じ，海岸からは多くのフィヨルドに刻み込まれている。最高峰のウォディングトン山（4042m）やクイーンベス山（3289m）など 3000m以上の山が多く，特に南部の北緯 52°付近に集中している。北部では標高 1200m程度となり，主として花崗岩で構成される。北緯 50°～52°付近を中心に多くの山岳氷河がみられ，山麓部は針葉樹林帯となっている。ガリバルディ州立公園やツイズミュア州立公園がある。
(2) Coast Ranges　アメリカ合衆国，ワシントン州中西部からカリフォルニア州のトランスバース山脈にまたがる山脈。南北 1600km以上に及び太平洋岸に並行する。東側はワシントン州のピュージェット湾低地，オレゴン州のウィラメット川の渓谷，カリフォルニア州のセントラルバレー（→グレートバレー）により，カスケード山脈やシエラネバダ山脈といった高い山々と分離される。西側の海岸平野はとても狭い。平均標高は約 1000m，高いところでは 2000m以上になる。この地域は，特に南部では地震や地滑りの影響を受けやすい。気候は，北部では涼しく乾燥した夏と，穏やかで多湿な冬が特徴的である。北から南に行くに従って乾燥し，冬期の降水量の変動は大きくなる。オレゴン州南部とカリフォルニア州北部の海岸に沿った森林地帯はアメリカスギに覆われ，内陸部では広葉樹と針葉樹の混交林となっている。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

日本大百科全書(ニッポニカ)

海岸山脈
かいがんさんみゃく

一般的には、島弧や大陸の縁辺部の海岸に並走している山脈のことで、固有名詞として用いることもある。島弧の例としては世界の弧状列島の各地にみられ、大陸縁辺部の例としては、アメリカ合衆国の西岸にあるコースト山脈Coast Rangesやカナダ西岸にあるコースト山地Coast Mountainsなどがある。南アメリカ西部のアンデス山脈や西太平洋の弧状列島など大規模な海岸山脈の形成は、プレートテクトニクスによる成立が有力とされている。

［有井琢磨］

[参照項目] | プレートテクトニクス

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内の海岸山脈の言及

【コースト･レーンジズ[山脈]】より

…北アメリカ大陸西岸を太平洋に沿って延びる山脈の総称で，〈海岸山脈〉の意。合衆国の南カリフォルニアから北上しオレゴン州，ワシントン州，カナダのブリティッシュ･コロンビア州のバンクーバー島とクイーン･シャーロット諸島を経て，合衆国アラスカ州のセント･エライアス山脈，キーナイ半島，コディアク島へと続く。…

【パラナ[州]】より

…大西洋に面し，ほぼ南緯22゜30′から26゜43′の間に位置する。大西洋岸に沿って標高2000mに近い海岸山脈(最高点パラナ山，1962m)が南北に走り，その内陸には，標高900m前後の高原が広がり，西方で高度を低めてパラナ川に達する。川をへだててパラグアイおよびアルゼンチンと接する。…

【ブラジル高原】より

…北東部のアポジApodi山脈，アラリペAraripe山脈のほか，マト･グロッソ州とゴイアス州やバイア州の西部にもシャパーダが多い。またリオ･デ･ジャネイロからサン･パウロとサントスの間へ連なる海岸山脈Serra do Marや，その内陸にあって南パライバParaiba do Sul川に面するマンティケイラMantiqueira山脈は，ともにセラである。さらに内陸にあるジェラル･デ･ゴイアスGeral de Goiás山脈，サン･フランシスコ川の東側にあるエスピニャソEspinhaço山脈，その東側の大西洋岸にあるアイモレスAimorés山脈もセラである。…

※「海岸山脈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」