パラメデス(その他表記)Palamēdēs

改訂新版 世界大百科事典 「パラメデス」の意味・わかりやすい解説

パラメデス
Palamēdēs

ギリシア伝説で,トロイア戦争の際のギリシア側の知将。ミュケナイ王アガメムノンがギリシア各地に檄(げき)を飛ばして王侯トロイア遠征参加を求めたとき,パラメデスは,狂気を装って出征を逃れようとしたオデュッセウス欺瞞をあばき,新妻との間に1子をもうけたばかりの彼に参戦を承諾させた。これを恨んだオデュッセウスが,トロイアへ来てのち,敵王プリアモスから内通を呼びかける偽の書状と多量の金銀をあらかじめパラメデスの幕舎内に隠しておいてから彼を裏切り者と訴えたため,パラメデスはギリシア軍に石をもって打ち殺された。彼はさいころすごろく,はかり,分銅灯台などの発明者とされている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラメデス」の意味・わかりやすい解説

パラメデス
ぱらめです
Palamedes

ギリシア神話の英雄。オデュッセウスと並ぶ知恵者で、知勇兼備の大将としてトロヤに遠征するが、オデュッセウスの計略にかかって殺される。これはオデュッセウスの復讐(ふくしゅう)であった。

 パラメデスはアガメムノンの使者として、オデュッセウスにトロヤ遠征への参加を求めたが、結婚まもないうえに男児テレマコスにも恵まれていたオデュッセウスは、出征を嫌ってパラメデスの面前で狂人を装う。しかし真相を察したパラメデスは、テレマコスに危害を与えるように見せかけて、その偽りの狂気を見破った。やむなくオデュッセウスはトロヤ戦争に参加することになったが、パラメデスを深く恨んだ彼は報復の機をうかがうことになる。トロヤ上陸後、オデュッセウスは、パラメデスが敵と内応していると巧妙に諸将を信じ込ませ、彼を裏切者として投石で打ち殺させてしまう。彼の父ナウプリオスは、この仕打ちを怒り、息子の償いを諸将に求めたが拒否されたので、ギリシア各地を回って遠征の諸将の妻たちが姦通(かんつう)するように仕組んだという。

[伊藤照夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラメデス」の意味・わかりやすい解説

パラメデス
Palamēdēs

ギリシア神話の人物。ナウプリオスの子で,ケンタウロスのケイロンに育てられて名高い知恵者となり,文字や数,貨幣,いくつかの遊技などを発明したとされる。トロイ戦争では従兄弟にあたるアガメムノンとメネラオスのために熱心に尽力し,さまざまな貢献をしたが,遠征が企画されたとき狂気を装って参加の義務を免れようとしたオデュッセウスの嘘を見破り,参戦を強制したことからその恨みを買って悪巧みにかかり,トロイ方に内通したという冤罪を着せられ,石打ちの刑に処され殺されたという。

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世界大百科事典(旧版)内のパラメデスの言及

【フォンデル】より

…19年,32歳のころからホーフトをはじめ同世代の学者,文人と交わり,ギリシア・ローマの古典を研究して,とくにセネカやソフォクレスなどの悲劇詩人から深い影響を受けた。25年に発表された悲劇《パラメデス》はギリシア伝説に取材して,政治家オルデンバルネフェルトを反逆罪で処刑(1619)した総督マウリッツとその同調者らを風刺したもので,詩人の才能の開花期の代表作とされている。オランダの年代記に取材した史劇《アームステルのヘイスブレヒト》(1637),悲劇《ドタンのヨセフ》(1640)を書いた50歳代からようやく円熟期に入った。…

※「パラメデス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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