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ヒバロ Jívaro

世界大百科事典 第2版の解説

ヒバロ【Jívaro】

エクアドルとペルーの東部に位置する上流アマゾンの熱帯低地に住む部族。自称はシュアラで,サンチアゴ川上流のウンツリ(狭義のヒバロ),パスタサ川のアチュアラ,サンチアゴ川下流のツム(ワンビシャ)の3族に分かれている。ペルー領のアグアルナも近縁である。無毒マニオクをおもに栽培する焼畑農耕民であるが,吹矢を使った狩猟,魚毒を利用した漁労も重要である。社会構成上の特徴としては,父系に傾斜した非単系原理,一夫多妻2世代の小規模家族構成,妻方居住婚の優先などがあげられる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヒバロ
ひばろ
Jivaro

南アメリカのペルーとエクアドルにまたがって住んでいる先住民集団。自称はシュアラShuara。言語はヒバロ語族に属する。ヒバロという名を広く解釈したときには、ペルーに住むアチュアルAchual、アグアルナAguaruna、ワンビサHuanbisaも含めて考える。狭く解釈したときのヒバロの人口は、1970年代にはエクアドルに1万8000人から2万人、ペルーに3000人であった。生業は無毒マニオクやトウモロコシを主作物とする焼畑耕作に狩猟採集を組み合わせたもので、南アメリカ低地の他の先住民集団と変わりがない。村落は一軒の大きな家からできており、かつては100人を超える人間が一軒の家に共同で住んでいたが、現在では30人から40人になり、いっしょに住む世帯の規模が小さくなっている。ヒバロは首狩りを行う先住民として有名であった。現在では行われていないものの、敵を襲って切り取った首はツァンツァとよばれる干し首に加工された。ツァンツァはしばしば商人に売却されたため、いまでは世界中の博物館で見ることができる。このツァンツァは戦果を誇るためのものではなく、殺された人間の復讐(ふくしゅう)の魂を封じ込めるためのものである。人間が安全に暮らし、強くなるためには、アルタム・ワカニといわれる祖先の霊を体内に取り入れなければならない。そして敵の殺害を通してアルタム・ワカニを更新しなければならないのだが、そのときに生まれ出る復讐の魂ムイサクを封じ込める役目をするのがツァンツァである。[木村秀雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のヒバロの言及

【アメリカ・インディアン】より

…階層分化や職能の専門分化もなく,集落の成員は平等であり,そのために集落の分裂もよくおこる。土器,カヌー,弓矢,吹矢,銛などが基本的物質文化で,ペルー・アマゾンのクニーボ族やカンパ族,エクアドルのヒバロ族などは綿織物を作る。毒草による魚採り,儀礼の際の幻覚植物の利用もさかんである。…

【エクアドル】より

…メスティソと呼ばれる住民には通常純粋のインディオをも含み,社会・人種的にみてエクアドルはペルーおよびボリビアと同様,〈インディオの国〉と言われる。伝統工芸で知られるオタバロ族や特異な身体装飾をほどこすコロラド族,首狩り族の別名をもつヒバロ族など,種族の多様性に富み,使用言語も公用語スペイン語のほかに,山地農村部ではケチュア語が,アマゾン低地帯ではヒバロ語,サパロ語などの原住民語が用いられている。これらインディオ人口が社会の最下層をなし,山地人口の60%以上がインディオ零細農民よりなる。…

【首狩り】より

…頭部に霊的な力が宿るという信仰が基本にあり,それを自分たちに有効な力として操作しようとする呪術・宗教的な行為である。南アメリカ,エクアドル領のヒバロ族は首級を念入りに加工し,保存する。日ごろから敵対関係にある集落の人間を,不意討ち,待伏せなど奇襲手段で殺し,切断した犠牲者の首級を持って安全な場所までひきあげると,直ちに頭骨を除去して,残りをそのまま土なべの中で煮て,縮小させる。…

※「ヒバロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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