ヒュアキントス(その他表記)Hyakinthos

デジタル大辞泉 「ヒュアキントス」の意味・読み・例文・類語

ヒュアキントス(Hyakinthos)

ギリシャ神話中の美少年アポロンに愛されたが、西風の神ゼピュロスにねたまれて事故死をとげた。その流した血からヒヤシンスが咲いたといわれるが、実際アイリス一種と考えられている。

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精選版 日本国語大辞典 「ヒュアキントス」の意味・読み・例文・類語

ヒュアキントス

  1. ( Hyakinthos ) ギリシア神話で、アポロンに愛された美少年。ある日二人が円盤投げに興じていたとき、これを嫉妬(しっと)した西風の神ゼピロスが風を吹きつけたため円盤があたって死んだ。その血からヒヤシンスが咲いたといわれる。ただし、この伝説の花は、今日アイリスの一種であるといわれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヒュアキントス」の意味・わかりやすい解説

ヒュアキントス
Hyakinthos

ギリシア神話で,アポロンに愛されたアミュクライ(スパルタ近くの町)の美少年。アポロンと円盤投げに興じていたとき,アポロンの投げた円盤にあたって死んだ。一説では,少年の愛をアポロンと競って敗れたゼフュロスZephyros(〈西風〉)が,意趣返しに風をおこして円盤の方向をそらしたためともいう。このとき,大地をぬらした少年の血から,花弁AI AI(ああ!)の文字をつけた花ヒアシンス(実際にはアイリスの一種がそのような花弁をもつ)が生じたと伝えられる。特異な接尾辞(-nth-)をもつヒュアキントスの名は,本来はギリシア先住民族のもので,おそらく彼は死んでよみがえる穀物の精であったと考えられているが,その崇拝がのちに到来したアポロンにとって代わられた事実の説明として,上記の神話が生じたのであろう。アミュクライをも含めて広くドリス人の町々では,毎年夏至のころにヒュアキンティアHyakinthia祭が行われていた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒュアキントス」の意味・わかりやすい解説

ヒュアキントス
Hyakinthos

ギリシア神話の美少年。スパルタに近いアミュクライの生れで,この市の名祖アミュクラスの息子アポロンの愛童となったが,彼に横恋慕した西風の神ゼフュロスが嫉妬して,遊技最中にアポロンの投げた円盤を彼の額に命中させ,落命させた。このとき傷口から流れた血から生じたのが,ヒアシンスの花で,この花びらには,「アイアイ」というアポロンの悲嘆の叫びが文字で記されているという。

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百科事典マイペディア 「ヒュアキントス」の意味・わかりやすい解説

ヒュアキントス

ギリシア神話の美少年。アポロンに愛されたが,神が投げた円盤に当たって死ぬ。その血から,神の嘆きを表すAI AI(ああ!)の字の花弁をもつヒアシンスが生じたという(実際はアイリスの一種か)。

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世界大百科事典(旧版)内のヒュアキントスの言及

【植物】より

…しかしながら,農民はそれだけでは満足せず,森や山から樹霊を招来するばかりでなく,みずからの耕している大地の中に新しい神を設定する。例えば古代ギリシア人はヒュアキンティアHyakinthiaなる祭りを行ったが,この祭りは,アポロンの誤って投げた円盤があたって死んだ美少年ヒュアキントスを記念する春祭である。ところで,このヒュアキントスは実はヒアシンス,あるいは類似の植物を人格化,神格化したものであると考えられる。…

【ヒアシンス】より

…栽培されるヒアシンスはヒアシンス・オリエンタリスH.orientalis L.から改良されたものであるが,ほかにも数種が栽植されている。【水野 嘉孝】
[神話]
 ヒアシンスの名称はギリシア神話に出てくる美少年ヒュアキントスにちなむ。ヒュアキントスはスパルタのアミュクライ市で生まれたが,その美しさのゆえにアポロン神に愛され,いっしょに円盤投げに興じていたとき,アポロンの投げた円盤があやまって頭にあたり,落命した。…

※「ヒュアキントス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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