ヒョウタンゴミムシ

改訂新版 世界大百科事典 「ヒョウタンゴミムシ」の意味・わかりやすい解説

ヒョウタンゴミムシ

甲虫目ヒョウタンゴミムシ科の昆虫総称,またはそのうちの1種を指す。ヒョウタンゴミムシScarites aterrimusは日本各地のほか,朝鮮半島,中国に分布し,海浜に生息する。体は黒色で光沢があり,胸の前角が前方へ突出する。各上翅には7条の縦溝があり,前脚の脛節けいせつ)は大きく歯があって穴掘りに適している。体長約20mm。越冬した成虫は春から出現し,初夏のころ産卵。幼虫は8月ころ成虫となる。成虫は日中は流木海藻の下,砂の中などに潜り込んでいて,主として夜間活動する。幼虫は黒褐色で鎌状の大あごをもつ。胸脚には2本のつめがあり,日中もしばしば砂上に現れて敏速に走る。危険を感ずると前向きのまま後方へ走る。成虫,幼虫ともに肉食性。ヒョウタンゴミムシ科Scaritidaeは,その名のように胸と翅の間が強くくびれ,ひょうたん形となる。日本からは30種近くが記録されており,海浜に生息するオオヒョウタンゴミムシS.sulcatusは体長最大45mmに達する。ナガヒョウタンゴミムシS.terricolaは体長約19mm。砂地草地に見られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒョウタンゴミムシ」の意味・わかりやすい解説

ヒョウタンゴミムシ
ひょうたんごみむし / 瓢箪芥虫
[学] Scarites aterrimus

昆虫綱甲虫目ヒョウタンゴミムシ科に属する昆虫。日本各地のほか朝鮮半島、中国の海岸砂浜におり、穴を掘ってすむ。体長20ミリメートル前後。黒色、前胸は大きく半楕円(だえん)形、後方で細くくびれ卵形の後体部に連なり、上ばねは縦の条溝がある。ヒョウタンゴミムシ科Scaritidaeの甲虫は前胸と後体部の間が細くくびれ、前脚の脛節(けいせつ)の先に指状の突起があって土砂を掘るのに適している。前述の種と同属のオオヒョウタンゴミムシなど3種のほかにヒメヒョウタンゴミムシ類、チビヒョウタンゴミムシ類など小形種がおり、日本産は20種余りに達する。

[中根猛彦]

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ヒョウタンゴミムシ」の解説

ヒョウタンゴミムシ
学名:Scarites aterrimus

種名 / ヒョウタンゴミムシ
目名科名 / コウチュウ目|オサムシ科
解説 / 海岸の砂地にすみます。ほかの昆虫を食べます。成虫で越冬します。
体の大きさ / 15~20mm
分布 / 北海道九州

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