改訂新版 世界大百科事典 「ヒヨコマメ」の意味・わかりやすい解説
ヒヨコマメ
chickpea
garbanzo gram
Cicer arietinum L.
食用に栽培されるマメ科の一年草。茎は基部で分枝し,腺毛を有し,高さ30~70cmになる。茎葉ともに細毛がある。互生する葉は約9~19枚の小葉があり,奇数羽状複葉をつくる。花は腋生(えきせい)する葉よりは短い花梗に単生し,白色あるいは紫色。豆果は膨大し,長さ2~2.5cmほどで,中に1~2個の種子(豆)をいれる。豆は径1cmほどだが,1個の突起があり鳥の頭に似るので,それにちなんだいろいろな名で呼ばれる。スープに入れたり,つき砕いて煮てダール(インド料理)にする。また,コーヒーの混ぜものに使われたこともある。西アジア起源であるが,野生種ははっきりしておらず,ヒラマメと同様古くに栽培化された。地中海沿岸からインドにかけて多く栽培され,北アメリカのカリフォルニアやメキシコなどの乾燥地域にも栽培が広がっているが,東アジアでは多くない。栽培品種群としてはエチオピアから西アジア,インドには小粒系race Orientaleが,中央アジアから中国西部には中粒系race Eurasiaticumが,また地中海沿岸には大粒系race Mediterraneumが分化している。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報