ヒルトン・ホテル(読み)ひるとんほてる(英語表記)Hilton Hotels Corp.

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒルトン・ホテル」の意味・わかりやすい解説

ヒルトン・ホテル
ひるとんほてる
Hilton Hotels Corp.

アメリカの高級ホテルチェーン。2007年にアメリカの投資会社ブラックストーン・グループBlackstone Group L.P.により買収され、2009年に社名ヒルトンワールドワイドHilton Worldwideに変更した。

 ヒルトン・ホテルは1919年、創業者であるコンラッド・ヒルトンが当時石油ブームで沸いていたテキサス州の油田町シスコのモーブリー・ホテルを買い上げたことに始まる。当初、銀行業を目ざしたヒルトンは資金が足りずにホテル経営へと転換。ホテルとは名ばかりの木賃宿に近いそのホテルを改装し、無駄なスペースを徹底的に有効利用するという現在のヒルトン・ホテルにもつながる経営原理で成功を収めた。その後、フォートワースダラスなどのホテルを次々と買収し、ホテルチェーンとして成長を遂げた。1946年にはヒルトン・ホテル・コーポレーションを設立し、ニューヨーク株式市場に上場。ホテル業としては初の上場株であった。それまで個人経営の域を出なかったホテル業が企業経営としての第一歩を踏み出したのである。

 第二次世界大戦後は、1949年にヒルトン・ホテルズ・インターナショナルを設立し、海外へ進出。1990年代は収益大半ネバダ州カジノホテルが占め、カジノ経営に事業の重心を置いた。1996年12月に総額19億ドルでバリー・エンターテインメントBally Entertainment Co.を買収し、全米5州12か所でカジノを経営した。1997年には、イギリスのホテル・娯楽レジャー事業グループのラドブローク・グループLadbroke Group plc.と世界中のヒルトン・ホテルの統合に合意した。1998年の売上高は17億6900万ドル、純利益2億9700万ドルであった。

 1998年にカジノ事業を分社化してパーク・プレイス・エンターテインメントPark Place Entertainment Corp.(通称シーザー・エンターテインメントCaesar's Entertainment。2005年にハラーズ・エンターテインメントにより買収)を設立。また、1999年にはプロマス・ホテルPromus Hotel Corp.を買収した。経済悪化や2001年同時多発テロによる厳しい状況においても売上高および純利益は増加していた。

 その後2007年、アメリカの投資会社ブラックストーン・グループにより約260億ドルで買収された。2009年、社名をヒルトン・ワールドワイドに変更した。なお、日本にもヒルトン東京など7施設がある。

[萩原伸次郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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